#28 ライブと雨と ページ30
ライブが始まるとともに、空から雨が降り始めた。
ぽつり、ぽつりとした小雨だけれど、これから酷くなっていくかもしれない。
そうなると、このライブは中止になってしまう。
それだけは避けたい。やっと、ようやく、戻って来られたのだから。
「雨……大丈夫だよね、お姉ちゃん」
「うん……大丈夫、だといいな」
すがるように姉を見つめても、姉もまた不安そうな表情だった。
「止まなくてもいい……。どうか、これ以上酷くならないで……。中止にさせないで……」
(……てるてる坊主、作っておけばよかったな)
そして、いよいよ中継が入ると言う時、突然空が光り、轟音を轟かせた。
「きゃあああ……っ！」
「わ……っ！雷！？」
そしてその轟音を最後に、先程まで流れていたライブの音楽がぴたりと止まった。
「……音が消えた！どこかに落ちたんじゃないですか！？」
「落雷の影響で機材がやられました！復旧にしばらく時間がかかります！」
(そんな……！それじゃあ、中継は……！)
「……これは、中継は無理だな。スタジオに連絡します」
せっかく、せっかく掴み取ったチャンスなのに。
皆を知らない人達に、知ってもらう機会なのに。
ぐっ、と拳を握り、姉の方を見やる。
だけど─────。
「どうしよう、お姉ちゃ──────」
「カメラ回してください！照明さん！環さんにスポット当ててください！」
そこにいたのは、私の知っている、かよわくて、可愛いお姉ちゃんではなく。
「音は聞こえなくても─────あの子のダンスは届く！」
見紛うことなく、『IDOLiSH7のマネージャー』だった。
*
環さんがダンスで繋いでいる間、音が無くても、お客さんは皆楽しそうだった。
環さん以外の6人も一緒に手拍子で盛り上げた。
「音響、復旧出来そうです！すぐに行きますか！？」
「待ってください！さっき途切れたところから行きます！スポットを壮五さんに切り替えて！」
「次のメロディは、壮五さんのソロから始まります！みんなはこれで気づくはず！」
音が消えた直後の不穏な空気が、一気にライブを成功させよう、という熱いものに変わっていた。
そして姉の指示通り、音響が復旧した瞬間逢坂さんのソロから入り、観客席は熱狂に包まれた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 209人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「アイドリッシュセブン」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
noppi(プロフ) - 続きも楽しみにしてます！！ (2022年5月20日 18時) (
レス) @page46 id: b90efc2fe0 (このIDを非表示/違反報告)
レイン(プロフ) - CloveRさん» コメントありがとうございます！！更新遅いですが頑張りますね…！ (2020年4月22日 14時) (レス) id: 5cf2ed8ae6 (このIDを非表示/違反報告)
CloveR(プロフ) - 神でした！更新頑張ってください！！ (2020年4月22日 2時) (レス) id: f7412586d4 (このIDを非表示/違反報告)
レイン(プロフ) - 夢見る猫さんさん» 初めまして！コメントありがとうございます！三月いいですよね！私も好きです！！ (2019年12月30日 15時) (レス) id: 5cf2ed8ae6 (このIDを非表示/違反報告)
夢見る猫さん - 初めまして。アイナナ大好きです。三月が好きで推しです (2019年12月30日 12時) (レス) id: 1f3578b759 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：レイン | 作成日時：2019年11月20日 20時
