#20 ライブ ページ22
活動禁止令から1ヶ月。
迎えたTRIGGERのライブの日、私たちは会場で待っていた。
開場まであと1時間。なのに、まだ環さん、六弥さん、二階堂さんが来ていなかった。
(どうしたんだろう……始まっちゃうよ……)
電話をしても何故か警察に繋がり、連絡は取れない。
(このまま来ないなんてこと、ないよね？)
二階堂さんと六弥さんは分からないけれど、環さんは学校で何度も踊りたいと言っていた。
だから活動禁止令が解けるこの日は心待ちにしていたはずだ。
その日をすっぽかすなんて、環さんはしない。
……だけど、着実に時間は進んでいた。
はらはらしながら待っていると、七瀬さんが以前のように苦しそうにしている姿が目に入る。
「七瀬さん」
「は……っ、な、何？」
「大丈夫ですか？なんだか辛そうですが……」
「う、うん。大丈夫だよ。ちょっと、緊張しちゃって……」
七瀬さんはそう言うが、私の目から見ても大丈夫そうには見えない。
ただ緊張しただけで、こんなに呼吸が浅くなるかな？
七瀬さんは逢坂さんに連れられ、近くのベンチで休むことになった。
「オレは……オレを……、家族を捨てていったあいつのステージを見なくちゃ……」
七瀬さんはうわ言のように呟いた。
家族を捨てた？あいつ？
一体、なんの事なんだろう。
頭に疑問符を浮かべていると、七瀬さんはぽつりぽつりと境遇を語り始めた。
双子の兄がいること。
実家は小さなショークラブだったこと。
同業の大企業に、店と兄を奪われたこと。
─────自分の兄が、TRIGGERの九条天だということ。
じゃあ、九条天を初めて見た時感じた気持ちは間違ってなかったんだ。
「やっぱり……そうだったんですか」
ふと呟くと、三月さんが驚いた顔で私を見る。
「A、気付いてたのか！？」
「いえ、確信を持ってた訳ではないです！……ただ、雰囲気とか、なんとなく似てるな、と……」
「雰囲気……？オレたち二卵生なのに、似てるって思ったの？」
「？はい……」
七瀬さんなぜか意外そうだ。
「とにかく……オレは、知りたいんだ。天にぃが見てるもの、その手に選んだものを」
*
その後、無事に3人は会場に着いたので、ライブを見ることができた。
1ヶ月前は単純に楽しみにしていたライブは、様々な想いを内に巡らせながら見ることになった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 209人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「アイドリッシュセブン」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
noppi(プロフ) - 続きも楽しみにしてます！！ (2022年5月20日 18時) (
レス) @page46 id: b90efc2fe0 (このIDを非表示/違反報告)
レイン(プロフ) - CloveRさん» コメントありがとうございます！！更新遅いですが頑張りますね…！ (2020年4月22日 14時) (レス) id: 5cf2ed8ae6 (このIDを非表示/違反報告)
CloveR(プロフ) - 神でした！更新頑張ってください！！ (2020年4月22日 2時) (レス) id: f7412586d4 (このIDを非表示/違反報告)
レイン(プロフ) - 夢見る猫さんさん» 初めまして！コメントありがとうございます！三月いいですよね！私も好きです！！ (2019年12月30日 15時) (レス) id: 5cf2ed8ae6 (このIDを非表示/違反報告)
夢見る猫さん - 初めまして。アイナナ大好きです。三月が好きで推しです (2019年12月30日 12時) (レス) id: 1f3578b759 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：レイン | 作成日時：2019年11月20日 20時
