死神も公安もFBIも黒の組織も近付かないでください！【名探偵コナン】

ハイリスク ページ41

よかった、流されてなかった…。
ホッとしながらやかんを水から引き揚げて拭いていると、急に鳥が茂みから飛び出した。

やだなにこわい、熊でもいるの…？
いやいや、キャンプ場でそんなわけ…

ドキドキしながら息を殺して茂みを見詰めていると、ガサガサと動いた。
麦茶の入ったやかんを構えて恐る恐る覗く。


白い人影に、声を上げざるを得なかった。



「え！？怪盗キｯｯ___！！？」



目が合った瞬間に叫んだけど一瞬で口を塞がれた。
焦った様子で“静かに”とジェスチャーをされたので頷くと、ゆっくりと手を離してくれた。

彼は怪盗の格好だったがマントや帽子など外している。
そもそもこんな所にいる時点で察してたけど、何かトラブったんだろうな。


顔を腕で私から見辛いように隠したが、その腕にはいくつもの浅い切り傷が。
顔を片手で挟んでこちらを向かせる。

端正な顔にも同じように無数の薄い傷が出来ていた。
な、なんだよ…と彼の青い瞳が揺れた。

しばらく目を見詰めながらどうしようか考えていると、勢いよく彼が手から逃げた。



「お前、あの時の…！！」



「…そう。
貴方はこの腕輪が欲しいはずだし、このキャンプ場には公安とFBIがいるんだけど…、

取引、しない？」



二つ返事で不敵な笑みを浮かべる彼と握手を交わした。
取引も何も、私にとってはハイリスク・ローリターンなんだけどね。

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