【仮面ライダー】君のいる未来…3【短編集】

ニオイ【乱れた】門矢士:リク ページ14

夢主＝恋人、写真館の近くにあるクリーニング屋


門矢士視点
視界の端で忙しなくアイロンをかける人影が2つ…1つは小遣い稼ぎといつもお裾分けしてくれているお礼にと手伝っている夏みかん。もう1つは、夏みかん(写真館)へよくお裾分けしているA。


ここはAの店で、早くから親元を離れてクリーニング屋を開いた時から写真館とは付き合いがあるらしく、夏みかんは姉のように慕っていた。


そんな2人のアイロンがけ中の会話を聴きながら、手元にある映写機の掃除を進める。俺も手伝えと言われたが、面倒だし手伝う理由も特にないと言うとAが直して欲しいものがあると持ってきた映写機。この店は元々、Aの親戚が経営していて倉庫に残っている物は好きに使えることから、この映写機も使おうとしたのだろう。


どことなく、俺の持つものと形が似ていた。暫く作業を続け、レンズを拭いていると手元に影が指す。


『凄い…綺麗になってる…』
「保存状態が良かったからな。壊れてると言うより、埃やらが詰まって動かなってた」


夏みかんは配達と共に帰ったのだろう。目の前にAしかいないことにアイロンをかけている時にそんな会話をしていたのを思い出し、拭き終わったレンズをセットしネジを付ける。


『士も帰っていいからね。朝のうちに豚汁お裾分けしたから、夕飯は豚汁が出てくると思うよ』


そう言いながら少し離れて台の上にある明日、配達する依頼されて綺麗になった服たちを梱包するAに、手元にある直したばかりの映写機のレンズを向ける。


形が普段から使ってる物と殆ど同じだからか、修理していたからかわからないが映写機は手に馴染み、真っ直ぐ向いたレンズに写った姿を切り取る。


パシャッ…


梱包のビニールの音に紛れて、小さくシャッター音が響く。Aは気づいておらず、鼻歌交じりに梱包し終えた服のリストにチェックしている。座っていた椅子に映写機を置き、台上を片付けていたAを後ろから抱きしめる。

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