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昔話と少年少女 ページ42

当たりがみまわせる少し高い丘
人が来ることも少なく穴場である

ぼーっとすると草の上ではしゃぐ
女の子と男の子の光景が頭によぎる
自分の記憶だろうか、しかし思いだせない
無性に気分が悪くなりフェンスに寄りかかった

ふとフェンスの外を見ると猫がいた

「あ」

身を乗り出して手を伸ばす
もう少しで届きそう
しかしすぐ腕の痛みと同時に視界は後ろへ戻っていった
それが手を引かれたと理解するのに時間はかからなかったし
同時にその犯人さえわかった

「何ですか天パさん」
松田「おい⁉どういうつもりだテメェ⁉」
「は…?」

どうやら御立腹のようだ
どうでもいいから手を離して欲しい
その考えとは裏腹に腕を握る力は強まるばかり
すこし気分が悪くなって手を振り払いまたフェンスに向かうと

「…いない」
松田「ああ⁉話聞いてんのかよ⁉」
「猫が…行っちゃった…」
松田「猫だァ?」
「うん、猫」
松田「…チッ」

なぜあの状況ができたか理解できたようで
天パさんは顔を背け舌打ちした

「…でもなんでここに」
松田「たまにくるんだよここ、
ちィせェ頃よくここではしゃぎ回っててよ
懐かしいんだわ」
「私も…よく遊んでた気がする」
松田「お前出身ここの近くか?」
「わからない…でもここは覚えてる…」
松田「へぇ」
「小さい頃、どこに住んでたか、なにをしてたかなんて曖昧だから。
それに廻くんとの記憶すら曖昧だし…
今日は気分がいいな、少し私の昔話、聞いていかない?」
松田「おう」
私の昔話、面白くないよ…?」
松田「いいから話せ」
「うん、教えられる範囲なら」

ーーーーー
私の記憶は断片的だ
記憶障害らしくてろくに覚えてない

小さい頃、よく遊んだ丘、笑ってる少年
でも思い出そうとするたびすぐさま赤い絵の具で塗りつぶされる
その後には必ず
蔑む目と血反吐の出る暴力
私の顔ばかり狙う手と足
その光景が浮かぶ
甲高い叫び声はもう相手の声か自分の声かもわからない

でも気づいた時には部屋は赤く染まってた
怖くて怖くて逃げ出して
雨の中素足で走って
それでもすぐ足も動かなくて座り込むしかできなくて、
家の場所も親の名前も何が起こったのかもわからなかった

その時の私を拾ったのが廻くんだった
行く宛もない私は彼に黙ってついて行った

ーーーーーーーーー

「そこまでしか覚えてない」
松田「警察に相談は」
「廻くんが全部根回ししてくれたんじゃない?
覚えてないよ」

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ヘッドフォン先生 - 夜鷹紫苑さん» 嬉しすぎて狂喜乱舞してます!頑張ります: (5月20日 19時) (レス) id: 9763d24981 (このIDを非表示/違反報告)
夜鷹紫苑(プロフ) - お願いします!応援してます、頑張ってください! (5月20日 17時) (レス) id: ae0632c942 (このIDを非表示/違反報告)
ヘッドフォン先生 - 夜鷹紫苑さん» ご意見ありがとうございます(*´∇`*)では登場させますね!(`・∀・´) (5月20日 17時) (レス) id: 9763d24981 (このIDを非表示/違反報告)
夜鷹紫苑(プロフ) - ハッカー仲間いいじゃないですか!!入れてください!!私は好きです! (5月20日 17時) (レス) @page10 id: ae0632c942 (このIDを非表示/違反報告)
ヘッドフォン先生 - 花音さん» コメントをくださると励みになります!がんばります(*´∇`*) (5月19日 21時) (レス) id: 9763d24981 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ヘッドフォン先生 | 作成日時:2023年5月15日 17時

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