拾われた子猫 (ページ28)

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A『ﾋｯｸﾋｯｸお父さん！ﾋｯｸ』

母「A、いい？お父さんはもういないの。」

A『ﾋｯｸ…ﾋｯｸ』

母「もう泣かないで。このお面あげる。
もし泣くんだったらこのお面つけなさい。
そうすれば、泣いていても分からない。
お父さんからのプレゼント。」

A『うん。』ﾁﾘﾝｯ

ーそれから毎日お面をつけた。

学校にも、買い物にも……………

周りから冷たい目で見られる度に

お面をつける時間は長くなった。

いつの間にか、一日中つけてたな。

だけど、ある日声をかけられた。

そうだ、優しい笑みを浮かべた背の高い男の子

なんで、お面をつけてるの

なんて聞くから、思わず

『お顔を隠すためよ』

なんて言ってしまった。

だけど彼は

「泣きたいんだったら顔を隠さずに泣けよ。
別に誰にも迷惑かけてないし。誰だって泣くことあるじゃん！」

その時思った、そうか。

泣いてもいいんだ。

わざわざ隠さなくてもいい。

だけどもういいや。

泣くのは辞める

もう、これ以上泣いても意味は無いと思う。

『ありがとう。』

そして彼は、ふと笑うと光に包まれて消えていった

きっと人間ではないのかもしれない。

誰かは分からない暖かい人だった。

それからは、お面をしまって被ることは無かった。

はずだったのに…………。