【BIG CITY RODEO / GENERATIONS】 CROWN 4

CROWN No.173 ページ23

‥




隼「自分を卑下なんて」


A「してるよ」









卑下しないと、やっていけない。
同時に、悪意が自分の中で膨らんでいくのを実感する。



自分で言うのも変だけど、俺は裕太くんみたいに凶暴じゃないし涼太くんみたいに過去の自分に後悔もしてない。
だってところ構わず暴れたってあの時の自分を悔やんだって、失ったものが戻ってくるわけじゃないから。



だから口角を上げて、暗い自分を自分で卑下しながら隠す。
醜いところなんて、見せたって話したって気持ちいいものじゃない。









A「そんなに、メンバーが信じられないの」









信じる？
信じてるよ。
だって大事な仲間やろ。
TRIBEなんてだいそれた名前がつけられた監獄の中で、お互いがお互いを見つけて集まったんだ。



この5年、どれだけ一緒にいたと思ってるの？









A「肝心な部分を話さないなんて、それこそ信用ならない」


隼「人間なんて信用ならないよ」


A「信用ならないのはあの子であってメンバーじゃない」


隼「でも、」


A「でもじゃないよ。
　貴方が信用しないと相手も信用してくれない」


隼「信用 "しないといけない" の？」









義務じゃん、そんなの。
落ち着く空間が欲しい。
あんな思いをもう、したくないから。
相手を信用して裏切られるなら、信用しないで本心を隠す。



ずっとそうしてきた。
イガの件があってから、今までずっと。
ずっと守ってきた。
自分自身の心を、今日までずっと。



それを、いとも簡単に侵入してくるんだね。









A「自分を卑下して、殻に籠もっても無駄だよ」


隼「は？ 何で」


A「……」









Aちゃんの視線が、横を向いた。
思わず釣られてそっちを見る。









隼「……」









何で、いんの。ここに。









涼太「あらあ、ばれた」


龍友「いや丸見えやん、Aからは」


メンディー「隼ー」


玲於「お前にとってはさ、俺らは信用 "しなくちゃいけない" 程度の仲だったってわけ？」


隼「……」









……こめかみの筋が、立った気がした。




‥

CROWN No.174→←CROWN No.172

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す