【BIG CITY RODEO / GENERATIONS】 CROWN 4

CROWN No.167 ページ17

‥




裕太「隼、今何か言いかけたやろ」


隼「ええ？」


龍友「言いかけたな」


玲於「言いかけた」


メンディー「言いかけたね」


亜嵐「言いかけた」


隼「皆して……」









もちろん、だってさっき、言ってないもんね。
後輩が女だって。
確かに女だけど。
彼女って1回言ったけど、地の文でしか出してないし。



誰か思い当たる人でもいた？
名前出してないけど、誰か判った？
何で知ってるの？
質問が質問を呼んでる。



涼太くんはAちゃんを(珍しく)引きずっていったから今ここにはいないけど……涼太くんってあんな人だったっけ。
まあ、時間を確認すれば後20分……ってところか。
Aちゃんはそんなメイクしなくても綺麗だから、20分あればステージ裏で待つだけの余裕はあるね。









隼「訊こうとした、何で後輩が女って知ってんの？ って」


龍友「満場一致で思ったわな」









まあ、それだけじゃないんだけど、もちろん。
玲於が聞いた、兄弟がいると思わせるような言葉。
でも一方で、さっきは兄弟がいないと言った。
何でそんな不可解な言動がAには多いんだよ？



俺らをこんなにしといて、自分は決してベールを剥がさせず。
無自覚で、俺らの心に華麗に踏み込んで、そして開かせる。
いやいや、別に引きこもりとか内向的とかの意味じゃなくて。
他人には知られたくない、犯罪歴を明かすとか……普通するもんじゃないよね。



何で来ちゃうかなあ、無関心な癖して……ああ、
今はもう、そうじゃないんだっけ……



始めから続いてる、俺らの目的も、進んでいる……
最初は絶望的だったけど。
え？ それは何かって？ ……もう忘れたの？
頭上でくるくる踊る "CROWN" を堕として、そして捨てる遊び(ゲーム)。



……今回は違う終演(フィナーレ)になるかもしれないけど。



静かに、でも確実に、ここでは "違和感" が出てきている。
俺らがAちゃんに目をつけたのは偶然のはずなのに……ね？



明かされない神秘(犯歴)のベール。
徐々に変わる全員の気持ち。
自分に対して、そしてAちゃんに対して。



……まあ、









──それだけで俺らの全部を知ったと思わないほうがいい









Aちゃん、今君が見てるのは "過去" 。
自分達はそれだけで生きてるわけじゃないって、知ってるよね。
過去だけか知らないけど、ってことは、Aちゃん自身も過去に囚われているのかな……？




‥

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