CROWN No.150 ページ50
‥
チップは、1枚ずつ賭ける。
つまり、3回勝負。
白い枠に囲まれた赤と黒が、私を睨んでいるような気がする。
どこに賭けようか必死で考えている私に構わず、彼は話を続ける。
隼「メンディーさんのフロアにあるバスタブだって、玲於の部屋が和室なのだって、何か "過去" が関係してるのかもね?」
A「貴方はそれを知ってる」
隼「さあね。その過去の表面しかしらないかもだし……
奥深くまで知ってるかも?」
A「……挑発しないで」
隼「やだな、別に挑発してないよ」
この人はどうも掴めない。
私の心など全て読まれてそうで、怖い。
かき乱していることを忘れないで、と前に言われたけれど、私の心は完全に貴方にかき乱されている。
特別ルールを説明される。
アメリカンルーレットとフレンチルーレットと言うのがあるらしいんだけど、ここではアメリカンルーレット。
お互いに1ターンにつき1枚ずつチップをかける。
ボールが落ちると思われる場所を示す数字に。
ちなみに、36が最高倍率でストレートアップと言う。
今回はお互いチップを1回に1枚しか使わないので、この方法しか取らない。
隼「はい、俺はここ。Aちゃんは?」
A「……ここ」
隼が指したのは、黒の13。
私が指したのは、赤の12。
両極端の位置。
『ああ、いいね』と彼は言う。
シャンパンも進む彼。
ここは暗く、演出された光でしか他人を見ることができない。
だからかもしれないけれど、隼の言動ひとつひとつが作りもののような気がして……
隼「ディーラー」
隼に呼ばれた彼は、慣れた手つきでホイールを回す。
そして、玉を落とす。
それはころころと転がって……
隼「……ちぇ」
A「……っ」
金属のボールはカラカラと乾いた音を立てて、円を描く。
音が消える頃、私達は玉がどこに落ちるのかを知る。
落ちたのは……隼が賭けた場所の、ふたつ隣。
私が賭けた場所からは、程遠い。
暇つぶしでもしているかのように『ちぇ』と言いながら、隼は両手を頭の後ろに回した。
ルーレットは運試しのゲーム。
ディーラーを丸め込まない限り、イカサマは通用しない。
‥
ここまで読んでくださりありがとうございます
次章でもよろしくお願い致します
Kyoh.
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シェリル(プロフ) - 最初から一気に読ませていただきました。小説に引き込まれ、楽しくドキドキしながら読ませていただき、素晴らしい小説に出会えました!書くのは大変だと思いますが、京羽さんの小説の虜になってしまったので、これからも応援しています!オチは片寄くん希望です。 (2018年12月23日 18時) (レス) id: 04471f650b (このIDを非表示/違反報告)
さぁや(プロフ) - お話の構成や、人物の様々な表情が細かに書かれており読みごたえがありました。片寄くん希望です。 (2018年10月25日 17時) (レス) id: 0e28084fa3 (このIDを非表示/違反報告)
たちばな(プロフ) - 京羽さんの言葉のセンスやとても凝っているお話の構成が大好きです。読むたび次話が楽しみでなりません。これからも楽しみにしています! オチは玲於くん希望です (2018年10月23日 22時) (レス) id: 37da8e3cba (このIDを非表示/違反報告)
殺し愛(プロフ) - BIC CITY RODEOからこの世界観を作り出すなんて凄いです!GENEのメンバーも現実設定の様で違う様な…独特の設定で面白いです。最後に、オチは隼君が良いです! (2018年10月22日 17時) (レス) id: ee020fb2bb (このIDを非表示/違反報告)
さくらんぼ(プロフ) - コメント失礼します!京羽さんの語彙力わたしに分けてほしいです、、笑 オチは亜嵐ちゃん希望です!かつこいい亜嵐ちゃん期待してます!!! (2018年10月22日 6時) (レス) id: bc935dea58 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Kyoh. | 作成日時:2018年1月26日 0時