CROWN No.145 ページ45
‥
ステージ裏から一般通路に出ると、相田さんと会った。
会ったと言うか、向こうが私のことを待っていたみたい。
でも彼と話をする気にはなれず、そのまま素通りする形で離れた。
『後でお迎えに上がります』と呼びかけられた気がしたけど、理由なんて考える暇もなくて、聞いていないフリをしようと思った。
メインホールを通らずに、地上階まで出てきた。
スタッフ専用通路を使えばかんたんなこと。
スタッフでありながらスタッフではない私達は、使わなくてもいいんだけど。
何だか自分がすごく情けない顔をしている気がして。
ここは中の空間を純粋に楽しんでもらうため、窓は基本的に設置されていないらしい。
窓がついているのは、カジノからバーに繋がる大きな階段の踊り場のみ。
今は秋……きっと今日も、雨が降っている。
「ごきげんよう、 "CROWN" 」
A「……ごきげんよう」
専用通路を抜ければ、当たり前に
交わされる社交辞令に、嫌気が差す自分と……慣れてきてしまっている自分がいる。
でも現実、ここにいるのだから、郷には従うのが
今日は……どこに行こう。
どこで、時間を潰そう。
真っ白な大理石の上に赤い絨毯の敷かれた廊下。
意図なしにそれを見つめていれば、傍を通った人に気づくわけもない。
「おーい」
A「えっ？」
後ろから肩をがっしり掴まれ、はっと我に帰る。
ぱっと振り返れば、そこには見知った顔。
誰にでも好かれそうな口角。
白黒の、少し中国っぽさを匂わせた服。
左手の中指に光るのは、 "CROWN" が彫られた指輪。
長く垂れ下がる白いベルト。
通気性のよさそうな、シルクの黒パンツ。
何より目立つ金髪と、三日月のようにも見えるピアス。
愉快で、よく回る舌を持つこの男……隼。
A「何で……ここに」
隼「いやだって、俺のフロアすぐそこだし！」
視線を隼の指差す方向に向ければ、そこには赤と黒の豪勢なドア。
もう何度目かの、見慣れたドア。
そうか、いつのまにここに。
隼「どこに行くか決まってないなら、ここにしとかない？」
A「……毎回ここに来てる気がするんだけど」
隼「細かいことは気にせんとって笑」
それでも促されるまま、私はドアの向こうへ誘われる。
隼の、私の肩に回した腕の力が、いつになく強かったから。
‥
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シェリル(プロフ) - 最初から一気に読ませていただきました。小説に引き込まれ、楽しくドキドキしながら読ませていただき、素晴らしい小説に出会えました！書くのは大変だと思いますが、京羽さんの小説の虜になってしまったので、これからも応援しています！オチは片寄くん希望です。 (2018年12月23日 18時) (
レス) id: 04471f650b (このIDを非表示/違反報告)
さぁや(プロフ) - お話の構成や、人物の様々な表情が細かに書かれており読みごたえがありました。片寄くん希望です。 (2018年10月25日 17時) (レス) id: 0e28084fa3 (このIDを非表示/違反報告)
たちばな(プロフ) - 京羽さんの言葉のセンスやとても凝っているお話の構成が大好きです。読むたび次話が楽しみでなりません。これからも楽しみにしています！ オチは玲於くん希望です (2018年10月23日 22時) (レス) id: 37da8e3cba (このIDを非表示/違反報告)
殺し愛(プロフ) - BIC CITY RODEOからこの世界観を作り出すなんて凄いです！GENEのメンバーも現実設定の様で違う様な…独特の設定で面白いです。最後に、オチは隼君が良いです！ (2018年10月22日 17時) (レス) id: ee020fb2bb (このIDを非表示/違反報告)
さくらんぼ(プロフ) - コメント失礼します！京羽さんの語彙力わたしに分けてほしいです、、笑 オチは亜嵐ちゃん希望です！かつこいい亜嵐ちゃん期待してます！！！ (2018年10月22日 6時) (レス) id: bc935dea58 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Kyoh.
| 作成日時：2018年1月26日 0時
