CROWN No.144 ページ44
‥
ステージが終わって、また賑やかなBGMが弾けだす。
その音達に合わせて、
ステージ裏で、私達はお互いを見合う。
真剣な顔の私とちょっと口角の上がってる亜嵐。
視線はお互いの瞳孔に向いていて、本音を探してる私と隠してる彼。
A「……」
亜嵐「そんなに警戒しなくてもいいじゃん」
A「警戒じゃない」
亜嵐「睨んでるようにしか感じられないけど?」
A「これは元々」
亜嵐「そうかなあ?」
確かに初日もそんな顔だったけど……って、ひとり呟く亜嵐。
それに関しては異議なし。
亜嵐「でも、最近いろんな表情を見れるようになって嬉しいよ」
……?
いつ、私が表情を変えた?
そう尋ねると、亜嵐は『あの塀の中』って。
あの塀の中?
この祭りに招かれた日と昨夜で、私のどんな顔を見たのだろう。
顎に手を当てて考えていると、亜嵐は私の考えを見透かしたように、『どっちも違うよ』って。
それ以外会っていない気がするけれど、いったい彼はどこで私に会ったのだろう。
亜嵐「俺、本気になりそう」
突然真剣になった彼の表情。
ふと暗くなったその顔に、私の本能が訴えかける。
危ない。何かされる。
早くここから逃げろと。
本能に従うのがあと一瞬でも速ければよかったのに。
がっちりと掴まれた腕。
逃げ場をなくした背中。
目の前に迫る、彼の綺麗な顔。
ステージ裏で、響くのは彼の声。
亜嵐「 "誰かから奪う" のが今までの俺の快楽だったけど。
誰かの物に "なる前" から欲しいと思ったのは初めてだ」
奪……え?
ステージ表では、週に1度のイベントと言うことでいつもと違うBGMが流れる。
その高らかな音楽を背中で聞きながら、私は目の前の感触を理解するのに必死になろうとしていた。
いや、理解しなくてもいいのかもしれない。
"彼ら" は、夜の賑やかなパーティーで、暇潰しにと女を堕とすことが好きなのだから。
ただ、理解したくないのかもしれない。
"彼ら" がただ遊んでるだけじゃないのが、最近判ってきてしまっているから。
A「……やっぱり戻ってくるんじゃなかった」
ありったけの力で彼を押した。
彼は意外にも、よろけて尻餅をつく。
少し前に自分にした期待を後悔しながら、私はその場を逃げるように去った。
亜嵐「……あーあ」
‥
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シェリル(プロフ) - 最初から一気に読ませていただきました。小説に引き込まれ、楽しくドキドキしながら読ませていただき、素晴らしい小説に出会えました!書くのは大変だと思いますが、京羽さんの小説の虜になってしまったので、これからも応援しています!オチは片寄くん希望です。 (2018年12月23日 18時) (レス) id: 04471f650b (このIDを非表示/違反報告)
さぁや(プロフ) - お話の構成や、人物の様々な表情が細かに書かれており読みごたえがありました。片寄くん希望です。 (2018年10月25日 17時) (レス) id: 0e28084fa3 (このIDを非表示/違反報告)
たちばな(プロフ) - 京羽さんの言葉のセンスやとても凝っているお話の構成が大好きです。読むたび次話が楽しみでなりません。これからも楽しみにしています! オチは玲於くん希望です (2018年10月23日 22時) (レス) id: 37da8e3cba (このIDを非表示/違反報告)
殺し愛(プロフ) - BIC CITY RODEOからこの世界観を作り出すなんて凄いです!GENEのメンバーも現実設定の様で違う様な…独特の設定で面白いです。最後に、オチは隼君が良いです! (2018年10月22日 17時) (レス) id: ee020fb2bb (このIDを非表示/違反報告)
さくらんぼ(プロフ) - コメント失礼します!京羽さんの語彙力わたしに分けてほしいです、、笑 オチは亜嵐ちゃん希望です!かつこいい亜嵐ちゃん期待してます!!! (2018年10月22日 6時) (レス) id: bc935dea58 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Kyoh. | 作成日時:2018年1月26日 0時