CROWN No.134 ページ34
‥
A「……」
『ちゃんと聴いてる』って言ったのに、はねつけた。
『聴かせて』って、改めて言ったら解った夏恋の気持ち。
聴いてほしかったんだ。
話している最中のふたりの顔は怖い。
私はそんなふたりの顔を、じっと凝視する。
向き合うために、寄り添うために。
夏恋「私は悪魔と契約したの」
A「契約……」
夏恋「幸せを掴むために、 "嘘を吐き続ける" 契約を」
A「……嘘…………」
夏恋「チャンスがあった。バーに、大物が来た。
ダンスや歌では大手の会社の社長」
A「……」
夏恋は、慎重にその男社長に近づいた。
最初は挨拶程度だった会話が、いつしか夏恋のパフォーマンスの話、社長の会社での愚痴に広がった。
そのうち、社長は夏恋に惚れるようになっていた。
過去に、海外で歌の賞を獲ったことがあるの。
どこかは秘密。
知りたい?
教えない。
でも、飽きて日本に戻ってきちゃった。
貴方の所で雇ってもらえるの?
ああ、なんて光栄なの!
萩花は、そんな妹を応援していた。
手も貸した。もちろん、苦しさを分かち合い、共に悔しい思いをしてきた同士だったから。
彼女達は、一緒に社長に取り込む術を探した。
私、ダンスを踊りたい。
端で咲く雑草のようなダンサーじゃなくて、メインで舞台に立つのが私の夢。
賞は獲ったことない。
コンクールなんて、出場したこともない。
何故かって?
……夏恋と一緒じゃなきゃ、価値がないから。
萩花「ふたりで、社長の懐に潜り込んだ」
A「……夢を叶えるために」
萩花「……でも今となっては……
私は、夏恋となら何でもできるって思ったから」
A「……」
萩花「メインダンサーが夢だけど……
バカな妹だけどさ、やっぱり好きなんだよ」
A「ふたりで、一緒に……」
夏恋は萩花を見て、微笑んだ。
ふたりの表情。
ああ、ふたりは……
夏恋「今思えば、彼は私達をアーティストとしては見てはいなかったのかもしれない」
萩花「今思えば、私達は本当に沢山の罪を犯してきたんだとしみじみ思わされる」
途中までは順調だった。
デビューしたら仕事はすぐ入ってきて、好きなことで収入を得ることができるようになった。
たったの1年。
バイトも、いつだったか辞めた。
日本より、海外で活動することが多くなった。
そのうちに、社長と関わることも少なくなった。
でも、ある日……
‥
1448人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
シェリル(プロフ) - 最初から一気に読ませていただきました。小説に引き込まれ、楽しくドキドキしながら読ませていただき、素晴らしい小説に出会えました!書くのは大変だと思いますが、京羽さんの小説の虜になってしまったので、これからも応援しています!オチは片寄くん希望です。 (2018年12月23日 18時) (レス) id: 04471f650b (このIDを非表示/違反報告)
さぁや(プロフ) - お話の構成や、人物の様々な表情が細かに書かれており読みごたえがありました。片寄くん希望です。 (2018年10月25日 17時) (レス) id: 0e28084fa3 (このIDを非表示/違反報告)
たちばな(プロフ) - 京羽さんの言葉のセンスやとても凝っているお話の構成が大好きです。読むたび次話が楽しみでなりません。これからも楽しみにしています! オチは玲於くん希望です (2018年10月23日 22時) (レス) id: 37da8e3cba (このIDを非表示/違反報告)
殺し愛(プロフ) - BIC CITY RODEOからこの世界観を作り出すなんて凄いです!GENEのメンバーも現実設定の様で違う様な…独特の設定で面白いです。最後に、オチは隼君が良いです! (2018年10月22日 17時) (レス) id: ee020fb2bb (このIDを非表示/違反報告)
さくらんぼ(プロフ) - コメント失礼します!京羽さんの語彙力わたしに分けてほしいです、、笑 オチは亜嵐ちゃん希望です!かつこいい亜嵐ちゃん期待してます!!! (2018年10月22日 6時) (レス) id: bc935dea58 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:Kyoh. | 作成日時:2018年1月26日 0時