【BIG CITY RODEO / GENERATIONS】 CROWN 3

CROWN No.127 ページ27

‥




その後は、もう混沌状態。
夏恋と511を始め、その場は荒れる。



取り巻きは夏恋をリンチし始め、周りの女囚達はその場から逃げる者もいれば野次を飛ばす者もいる。
もちろん、私と萩花みたいに淡々と昼食を取り続ける者もいる。



今頃になって、刑務官が飛び込んでくる。
数人の刑務官では、この数の囚人は抑えられない。
男囚のほうもあるから、人員は割けない。
結局、その場が収まるのに10〜20分はかかったと思う。



夏恋は医務室へ、511は反省部屋へ行くことになった。









A「反省部屋……そんなのドラマの中だけかと思った」


萩花「あれ、 "CROWN" はドラマ見るの？ 意外」









見るよ、人並みには。失礼な。
今シーズンどれ見た？ って話題についていくぐらいには。
そんな話を、医務室で。
夏恋の手当て中に話している。



数は少ないが、確実に夏恋の腕や頬には痣ができていた。
解らないことはないが、暴力で人を押さえつけるのはさすがによくない。
……ここではこんな理屈、通じないのかもしれないけど。



511は暴行事件を起こしてここに入ってきたらしい。
必要ない情報だけど、涼しい顔して受け入れておいた。



そのうちに、夏恋が医務室の入り口に立つ私達の元へ戻ってくる。
顔は暗く険しい……怒りで満ちているように見えた。









萩花「らしくないね」


夏恋「別に。刑務官と話してたのを見られただけ」


A「それだけでどうしてホラ吹いただの言われるの」


夏恋「ここではね、嫌われる奴は徹底的に潰されるの。
　あんたみたいな "彼ら" のお気に入りでない限り」









気が立っているだけなのか、はたまた最初から私が気に食わなかったのか解らないけど。
今確かに、彼女は私のことを……気にはしないけど。



訂正させていただきたい。
私は別に、"彼ら" のお気に入りでも何でもない。
ただの気まぐれで巻き込んだだけだ。



……その認識が変わってきているなんて、思いたくない。









萩花「説明しな。さっきだってリンチされかけたやろ」


夏恋「助けてもらわなくてよかったよ」


萩花「それでもよ」









ガーゼを痛々しく頬に貼っている彼女の顔には、今まで見せていた笑顔は全く覗えない。
それは萩花にも言えることで。



人は誰しも、笑顔と真面目顔と持っている。
感情がある以上、それは必然的だ。
だけど、このふたりの場合はあまりにも違いが大きい。









──まるで、二重人格のよう




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