【BIG CITY RODEO / GENERATIONS】 CROWN 3

CROWN No.115 ページ15

‥




メンディー「え？ 帰った？」









Aが、帰った。
まだ、22時半前くらい。
俺は思わず訊き返したよ。



皆、そんなに驚くことはしなかった。
何だか、そんなことになるんだろうとでも考えてた。
誰かしらは必ず、申し訳ないと思ってる。
……玲於、お前は思わなきゃダメだよ。









亜嵐「何で送り出す前に連絡しなかったの？」


相田「……申し訳ございません、私の不手際で」









嘘だな。
相田さんは物事を忘れるような人じゃない。
もう5年も、ここで働いているんだ。
それなりのベテランだし、俺らも相田さんのことを解ってるつもりだ。
だから、 "忘れる" なんてことはありえない。



……でもその言葉は "CROWN" に対しての気遣いだって言うことも同時に解るから、俺らは何も言わない。
そうだった、と言うことにする。









隼「……次からは気をつけてくださいねー」


相田「……ええ、申し訳ございません」









前かがみになって頬杖をつく隼。
その笑顔には、偽りはない。
皆、相田さんのことも好いてるから。



俺は何となく、相田さんに口を開いた。
相田さんは、俺に体を向ける。









メンディー「ついでに相田さんにも訊くけど」


相田「はい」


メンディー「Aについて、何か知ってる？」


相田「何か……とは」









口角を自然に上げたまま、相田さんは首を傾げた。
質問の意図を理解していながら、とぼけようとする。
どうしてか、それに嫌悪感は覚えない。









メンディー「俺らはAのことを気になってる。
　それは相田さんも知ってるでしょ」


相田「はい、存じ上げております」


メンディー「情報が欲しいんだよね、俺ら」


相田「……」


メンディー「本人から聞いたものだけでいいから」









知ってる。
多分Aのことだから、そんなに下手に自分のことは話していないんだろう。
相田さんは、Aに、俺らと繋がってるだとか、監視役だとか思われてるかもしれない。



自分の知らないところで自分のことを探られようとしていると嫌な気分だ。
それは解ってる。
だけど、俺らはAのことが知りたい。



"拒否権はない" んだ、知ってるよね？




‥

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