【BIG CITY RODEO / GENERATIONS】 CROWN 3

CROWN No.136 ページ36

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萩花「それからは他の囚人と同じ扱い」


夏恋「裁判を受けて、判決を受けて、この通り」









夏恋には、経歴詐称、窃盗罪で懲役7年3ヶ月。
萩花にも、経歴詐称、窃盗罪で懲役6年。
夏恋のほうが刑期が長いのは、この事件の主犯が夏恋で、萩花が共犯だと判断されたから。
今の話を聞く限り、それは間違いないだろう。



経歴詐称、窃盗、どちらも相違なく、それは "罪" だ。
それは裁かれなければならないもの。
ただ、関係性と、気持ちが理解できない。



萩花と夏恋の復讐とは、きちんと終わったのか、それともそもそもできていないのか。
ふたりとお兄さんは、仲がよかったのか、悪かったのか。
"羨ましかったからチクった" とはどう言うことなのか。



それも、気になるんだけど……









A「お金は……」


萩花「知りたい？」


A「うん」


萩花「私が隠した」


夏恋「まだ見つかってない」









あれから5年も経つのにね。
夏恋はふわりと笑った。
まるで無邪気な子供。
お金が見つからないことをただ、すごいよねと褒める。



きっと、悪いことだと思っていない。
自分達は生きるのに必死だった。
悪気のない言い方から、お金が見つからないことではなく何かが今でも隠れ続けていることに重点を置いている。
夏恋がすごいと言っているのは、 "お金" じゃなくて "見つからない" こと。



ああ、なるほど。
刑期が少し重いのは、ふたりが裁判で黙秘したから。
盗んで隠したお金の行方を、話していないから。
そしてそれは、刑期を終えるまで……もしくは一生、ふたりだけの秘密なんだろう。



いったいどんなところに隠したのか。
お金を持ってそのままお兄さんの家に行ったのなら、その周辺で見つかってもおかしくないはずなのに。
警察に落ち度があるのか。
もしくはこのふたりが実は相当頭がいいか。



……実は、強者(つわもの)……



ただの推測でしかないそれに、私は思わず息を呑んだ。









A「……ねえ」









最後を無理やり終わらされたような感じがして、私は萩花のほうに顔を向ける。
萩花は伏せていた目をこちらに向けた。
こめかみのところにあるホクロが、何だか綺麗だと思う。



私は訊いた。









──夏恋と一緒じゃないと価値がないと言ったけど……




‥

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