CROWN No.100 ページ50
‥
意味が解らん。
何か僕が悪い奴みたいやん。
Aが歌う前までは、『こいつ堕としたろ』思ってた。
チャンスや、って。
歌い出すまで "花" を選んだことは知らんかったけど(『これ』って言った瞬間確認なしに移動したから)、歌が歌えるなら亜嵐くんや隼より僕のほうが詳しいし。
練習する時に、色々仕掛けようかと、思っとった。
……少なくとも、涼太より先にAを堕としたかった。
そう、思っとったはずやのに。
龍友「……おかしくなったんか、自分」
Aが部屋を飛び出していってから数分。
僕は後を追いかけていた。
そんな汗掻かんから、この黒衣装の心配は要らんな。
地下3階から、ワンフロアずつ探す。
龍友「……あーっ、もう!」
息を切らしながら、銀髪のあいつを探す。
順番に探してきて、1階まで来た。
おかしいわ、僕がこの建物の中で走るなんて。
……あいつの歌を聴いた途端、僕の中であいつに対する何かが変わったのは間違いない。
あいつに抱いた感情の名前なんて、まだ知らなくていい。
だから、あいつが歌い終わった時ちょっと困惑してて。
どう言葉をかけていいか解らんかったから、『僕と涼太ほどじゃないけど』ってちょっと突っぱねてしまった。
でも、『すぐ上手なるわ』って半ば慌てて訂正した後、せめて、と思って頭に手を乗せた。
その時やねんな。
あいつの表情が変わったのは。
どうした。
あかんかったか?
普通に、撫でたかっただけなんやで。
あんな泣きそうな顔見せられたら、こっちだって黙っておられへんやん。
何で言い逃げするねん。
ちゃんと、顔見て話せや。
──っ
次々と自分の頭の中に並べられていく整理のつかない罵声に腹を立てながら、外にまで飛び出してしまった。
外を1周して見当たらんかったら、2階を探そう。
そう思って、息を整えた後、落ち着いてから歩き出す。
上に光の柱を作り出して、自由自在に首を動かすスポットライト。
正面入口から歩いて、ちょうど裏側を回って、海に面した側に出てきた時。
遠くに、見えた影。
スポットライトが回る度に、顔が夜に浮かぶ。
龍友「……A」
名前を呼んで駆け寄ろうとした、その瞬間。
ずっと遠くで、誰かがAに声をかけた。
僕じゃない別の誰かの声に、Aは振り向いた。
‥
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な - 昨日見つけてここまですぐ読んでしまいました!凄くみんなの過去が気になって惹き込まれます!!!これからも応援しています! オチは裕太くんか隼くん希望です! (2018年3月5日 12時) (レス) id: f0e5b106b0 (このIDを非表示/違反報告)
ぐっちー(プロフ) - いつも見ています!主人公の過去が気になって、いつもドキドキしながら見てます!これからも頑張ってください!応援してます! (2018年1月25日 19時) (レス) id: 900406c4cd (このIDを非表示/違反報告)
星華(プロフ) - 初めまして!楽しく読ませていただいています。オチは誰でもいい気がしてきました笑頑張ってください! (2018年1月25日 18時) (レス) id: f0eebf7f9c (このIDを非表示/違反報告)
和佳奈(プロフ) - これからどんな風になるのかどんな過去があるのかすごい気になります!!オチは龍友がいいです!これからも頑張ってください! (2018年1月25日 2時) (レス) id: 74371510d3 (このIDを非表示/違反報告)
ぴよ(プロフ) - いつも楽しく読ませてもらってます!前にオチは亜嵐くんがいいって言ったんですけど、読めば読むほどどのメンバーのオチも気になって仕方がないです笑 でも1人にしぼるなら亜嵐くんで! 大変だと思いますが、頑張ってください!応援してます!! (2018年1月23日 11時) (レス) id: fea3c16bd8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Kyoh. | 作成日時:2017年11月12日 20時