【BIG CITY RODEO / GENERATIONS】 CROWN 2

CROWN No.90 ページ40

‥




職業訓練は無事終えた。
それから作業をして、夕食を摂って、今は風呂や就寝準備をする時間。
私は独房だから、誰かと行動を共にすることはない。
だけど、風呂の時間は同じスペースの囚人達とまとめられる。









刑務官「囚人番号 "……" 、時間だ」









丁寧に、ひとりひとり呼びに来る刑務官。
"GENERATIONS" のおかげで、移動までついてくることはない(廊下にちゃんと見張りは立っているが)。
そして、私の独房の前にも、刑務官は来る。









刑務官「……囚人番号 "1121" 、時間だ」


A「……」









壁に背を預けて、下から刑務官を睨む。
元から目つきの悪い私。
刑務官の表情が、嫌悪感で歪んだ。



でも特に抵抗する理由もないので、持たされたタオルと着替えを腕に風呂場へ向かう。
独房を出て、浴場へ向かおうとしたその時。









A「……あ」


涼太「……やあ」









場所が近かったのに驚いた。
……最初にここにつれて来られた時に感じた7つの視線は、やはり "彼ら" だった。



他のメンバーはもう行ったみたいで、ひとりで房から出てきた彼。
出た瞬間、廊下を歩いていた私と目が合う。
もちろん、こちら側は女囚の独房で向こうが男囚の独房。
廊下の真ん中には、鋼鉄の柵が壁となって立ちはだかる。



ちらほら囚人が浴場に向かう。
私達は他に特に話しかける人がいないため、共用廊下に出ると、自然と横に並んだ。
でも、ここでもお互いに自分から話しかけることはない。
腕に持ったタオルを、着替えを。
無機質に白い廊下をただぼーっと見流しながら、歩く。



男湯と女湯は、隣同士には設置されていない。
男湯のほうが先に見えてきて、彼は入り口で立ち止まる。
囚人番号が、刺繍として肩に縫いつけられているのが見える。









A「……言った」


涼太「ん？」


A「『彼女』って。自分のお母さんのこと」


涼太「……うん」


A「お父さんのことも、『彼』『彼だったモノ』って」


涼太「……」


A「……貴方は、ふたりを "親" として、 "家族" として見てはいないんでしょう。
　貴方にとって、ふたりは "汚点" でしかない」


涼太「何でそんなこと言うの？」


A「……上手く言葉にすることは難しい。
　だから、語弊があるかもしれないけど」




‥

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