【BIG CITY RODEO / GENERATIONS】 CROWN 2

CROWN No.63 ページ13

‥




──何が起こったの









後頭部にすごく鈍い衝撃を受けた。
腰や脚には冷たいものが触れている。
目が回ってしまって、状況が理解できない。
周りで、『きゃーっ！』と、女性達が逃げる靴音と叫び声が聞こえる。



口を塞がれていて、喋ることができない。
何だろう、この体勢。
つい一昨日も同じ雰囲気を味わったな。
メンディーの親指と、中指薬指が両頬に食い込んで痛い。









A「んっ……」


メンディー「俺に何訊いてんの？」









『貴方は、何でここに来たの？』
メンディーは、私がそう質問した途端飛びかかってきた。
私の顔を大きい片手で掴み、そのまま地面に打ちつけた。
馬乗りになって、見開いた目で私を睨む。
私の顔のすぐ傍の階段で、蒼白い照明が対岸の火事見をしているように感じられて憎らしい。









メンディー「囚人のくせに、君は無防備だよね。
　言葉は選んだほうがいいよ」


A「……っ」









全身に、鳥肌が立つ感覚を覚えた。
にやりと笑ったメンディーに、あの時の裕太と似たような何かを感じたから。



私が驚きと恐怖で目をよりいっそう広げると、メンディーはまた真顔に戻る。
そして、視線を私の左耳に向ける。
その耳には、初日にメンディーがつけた "CROWN" の証である王冠のピアス。



それにそっと空いた手で触れたメンディー。
今彼は、何を考えているんだろう。
解ったとしても、きっと私には理解できない。









「メンディーさん」









ふと聞こえてきた、声。
その声は落ち着いていて、低くて、まるでメンディーがこんな行動を起こすことを予想できていたかのよう。
メンディーは声の主に顔を向けて、目を細めた。



私の口から手が離れる。
隙にメンディーを押して、彼から離れる。
メンディーは少しよろけた後、立て膝をついて私を見たけど、私は知らないフリをした。



距離を取ってからおもむろに立ち上がる。
声の主を見れば、顎を引いて、下目で私達を見ている彼。









メンディー「龍友」


A「……何で」









私が何でと訊くと、龍友は私を指差した。
その先には私の手首。
目をやれば、いつの間につけられたのか、シルバーのリング。
目に近づけて見てみれば、1ヵ所だけ赤く点滅していた。



いつつけられたかなんて、すぐ判った。
龍友と涼太の部屋を出る時だ。
腕を強く引かれて、ソファーに尻餅をついたあの時。
このリングをつけたのは、涼太か。




‥

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