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CROWN No.58 ページ8






ただ音楽に身を委ねて、静かに肩で踊るふたり。
私はただそれを眺めて、カクテルに口をつけるだけ。
女性達とふたりは楽しんでいるようだけど、私にとってはここにいる理由がないとしか思えない。



運ばれてきた料理。
大皿に小さく盛りつけられて、高級さが滲み出している。
それは涼太の前に並べられ、彼はフォークとナイフを取って食べ出す。
その姿は、まるで紳士。









涼太「ん? 何?」


A「いや」


涼太「食べる?」


A「いらない」


涼太「拒否権」


A「……訊いた意味」


涼太「ほら、おいで」









私がじいっと見ているのに気づいたのか、涼太は私にフォークを差し出した。
本当、 "拒否権" のワードに弱くなっている気がする。
グラスを傍らのミニテーブルの上に置いて涼太の傍まで行くと、涼太は軽く笑う。
龍友は、相変わらずシャンパングラスを口元で遊ばせながらにやにやしている。



白く魅力的なドレスをまとった女性の代わりにそこへ落ち着いて、涼太の持つフォークを受け取ろうとする。
でも、私の手はまた、宙を掴む。









涼太「ふふっ」


A「嫌がらせ?」


涼太「からかってるだけだよ」


A「すごい不快感」


涼太「まあまあ、そう言わずに」









ひと口サイズに切り分けられた、ビーフステーキ。
サクッと刺して、私の口の前。
子供じゃないんだし自分で食べたいんだけどと思うけど、涼太がそれをさせてくれないのはもう知ってる。
初日のルージュの件で学んだ。



苦い顔を露骨に出しつつ、パクリとステーキを口の中へ。
肉汁が甘く広がって、適度な辛みが後から溢れる。
うん、さすがシェフ。
『美味しい?』『……』『よかった』









龍友「満足そうやなあ」









龍友にそう指摘されて、涼太は頬の横に親指と人差し指で輪を作った。
他の3本の指は柔らかく立っていて、何か幼い。
涼太が私が食べた後のフォークをそのまま自分の口に持っていったことは、見ないフリをした。









A「……特に何もないなら、私出る」









ステーキを飲み込んでそう言って、私は部屋を出ようとする。
すると、手首に強い圧迫感。
同時に、ソファーに引き戻されて。
振り向けば、すぐ目の前に涼太の顔。
鼻の頭と頭がぶつかるくらい。


でも、すぐ離された。
私はその表情に少し疑問を覚えながら、龍友の笑顔を見流してフロアを出た。




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- 昨日見つけてここまですぐ読んでしまいました!凄くみんなの過去が気になって惹き込まれます!!!これからも応援しています! オチは裕太くんか隼くん希望です! (2018年3月5日 12時) (レス) id: f0e5b106b0 (このIDを非表示/違反報告)
ぐっちー(プロフ) - いつも見ています!主人公の過去が気になって、いつもドキドキしながら見てます!これからも頑張ってください!応援してます! (2018年1月25日 19時) (レス) id: 900406c4cd (このIDを非表示/違反報告)
星華(プロフ) - 初めまして!楽しく読ませていただいています。オチは誰でもいい気がしてきました笑頑張ってください! (2018年1月25日 18時) (レス) id: f0eebf7f9c (このIDを非表示/違反報告)
和佳奈(プロフ) - これからどんな風になるのかどんな過去があるのかすごい気になります!!オチは龍友がいいです!これからも頑張ってください! (2018年1月25日 2時) (レス) id: 74371510d3 (このIDを非表示/違反報告)
ぴよ(プロフ) - いつも楽しく読ませてもらってます!前にオチは亜嵐くんがいいって言ったんですけど、読めば読むほどどのメンバーのオチも気になって仕方がないです笑 でも1人にしぼるなら亜嵐くんで! 大変だと思いますが、頑張ってください!応援してます!! (2018年1月23日 11時) (レス) id: fea3c16bd8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Kyoh. | 作成日時:2017年11月12日 20時

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