CROWN No.9 ページ9
‥
夜、鉄柵のはめ込まれた窓からは月が見えた。
今夜は、中秋の名月らしい。
布団を敷く気にもならず、そのまま空をぼーっと眺める。
聞こえてきた靴音。
硬く乾いた音が寝静まった牢獄の壁を弾いて乱反射する。
A「……誰?」
空を見上げたまま、私は真後ろの影に訊いた。
靴音が、私の真後ろで止まったから。
嘘。
誰かなんて、だいたい予想はつく。
だって、昼間からあんな話をしたんだから。
眠れなくて、でも眠くて、少し頭がふらつく。
鉄格子の向こうに立った影は、ふっと笑う。
そして、私の耳に届いたのは今日聞いたばかりの声。
亜嵐「ようこそ、 "BIG CITY RODEO" へ。
さあどうぞ、我らが "CROWN" 」
紳士風に出された手に、不本意ながらも自分の手を重ねる。
何故か牢の鍵は開いていた。
少し屈んで牢を出て、視線を声の主に向ければ、服装は昼間見たものと異なっていた。
A「その服装……」
亜嵐「パーティーに出るのにツナギじゃあねえ」
オレンジとピンクの間のような色と、黒色。
そのトレーナーは、襟出しで。
黒のアンクルパンツに、白のスニーカー。
細いネックレスが、フロアで跳ね返る月明かりで光る。
『浮く格好は嫌だよ、でも目立つ格好がいい』
そう言って、彼はけたけたと笑った。
まあそうだけど、と納得し、ついていく。
『裸足なの?』って訊かれたから『くれなかった』と返すと、
亜嵐「Aだっけ? お前面白いな!笑」
A「え? ちょっ……うわっ」
冷たい廊下を歩く私を気遣ってくれたのか、ひょいっと体を抱き上げられる。
下ろして、と言ったけどダメ、って下ろしてくれない。
‥
1753人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ピヨコ - はじめまして!!いつも作品を読ませてもらっています。本当にこの作品が面白くて読むのがとても楽しいです!ちなみに私は涼太君オチがいいです。これからも頑張ってください!! (2020年3月11日 21時) (レス) id: eb22d40d8e (このIDを非表示/違反報告)
じゅり - 今までにないストーリーに感動!とても面白いですね(*^ω^*) (2018年2月21日 15時) (レス) id: f641cbabc6 (このIDを非表示/違反報告)
みのよせ(プロフ) - 京羽さん» 楽しみにしてます!!このお話読んでたら、BIG SITY RODEOでこんなにも沿っててんで、内容も濃くてほんまに凄いと思っています!!語彙力無くてすみません…これからも頑張って下さい!! (2017年12月12日 12時) (レス) id: c92c0a9bd5 (このIDを非表示/違反報告)
京羽(プロフ) - みのよせさん» 誤字の指摘ありがとうございました! オチについてはめちゃくちゃ悩んでます! 佐野さんの過去も楽しみにしていただけたら嬉しいです! (2017年12月11日 17時) (レス) id: 25532f7237 (このIDを非表示/違反報告)
みのよせ(プロフ) - あの、突然すみません!!No.46だけかも知れませんがゆっぴの裕が祐になってます!このお話大好きで楽しみながら読ませてもらってます!!あ、オチは玲於でお願いします。あの可愛いれおたんが喜ぶとこを見たいだけです(笑)←これからも頑張って下さい!! (2017年12月10日 23時) (レス) id: c92c0a9bd5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:京羽 | 作成日時:2017年10月18日 16時