CROWN No.32 ページ32
‥
相田さんが、ドアを開けて入ってきた。
私の乱れた髪を見て、『崩れてしまいましたね』と、溜め息交じりに言われた。
『ごめんなさい』と言うと、『また結い上げて差し上げますよ』と笑ってくれた。
私共は、最高の技術を持ったスタッフですから。
相田「お召し替えをして、彼らと合流いたしましょう」
A「せっかく、用意してくれたのに」
相田「構いませんよ」
部屋に設置されてあった洗面台でハンカチを濡らして、彼は私の頬と手についた血を拭き取ってくれた。
そして、私達は、またフロアを下へと降りていく。
相田「そう言えば、丸1日寝ておられましたね」
A「……へっ?」
相田「丸1日、でございます」
A「……まっ、丸1日?」
まさかの相田さんの言葉に、開いた口が塞がらない。
では、私がさっき回想していたあれは、既に昨日の出来ごとになっているのか。
……大変な迷惑をかけてしまった。
それに、私は丸1日、刑務所にも戻らずあの部屋で寝息を立てていたと言うのか。
うわあ、何と言う失態。
恥ずかしい。
亜嵐か玲於あたりに、『お前はぐうたらだな』とでも言われるかもしれない。
相田「隼様が、『寝不足だろうしゆっくり休ませてあげようよ』と仰いましたので、私共のほうから "TRIBE" に連絡を入れさせていただきました」
A「起こしてくれれば、よかったのに……」
相田さんは、私の言葉に立ち止まった。
私も少し遅れて立ち止まって、こちらを見下ろす彼の顔を見る。
相田「きっと隼様は、貴方のその跡に何か感じられたのかもしれませんね」
そう言って、私の目の端を擦る。
私はその感触にはっとして、そこを手で覆う。
……どうして、いつの間に泣いていたの?
『 "彼ら" はああ言う難癖のある方ばかりですし、ここも不慣れな環境ですし、きっと……』と、また歩き出す彼。
その後に何を言ったのかは、声が小さすぎて聞き取れなかった。
相田「では、昨日のように、お好きな物を。
おひとりで着替えなさるのでしょうから、外でお待ちしております」
3度目ともなると、部屋の様子が激変していることにはもう驚きようがない。
ひとりになったところでそそくさと着替える。
……刑務所に入って、 "CROWN" になって早速、2日をここで過ごすことになろうとは。
‥
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ピヨコ - はじめまして!!いつも作品を読ませてもらっています。本当にこの作品が面白くて読むのがとても楽しいです!ちなみに私は涼太君オチがいいです。これからも頑張ってください!! (2020年3月11日 21時) (レス) id: eb22d40d8e (このIDを非表示/違反報告)
じゅり - 今までにないストーリーに感動!とても面白いですね(*^ω^*) (2018年2月21日 15時) (レス) id: f641cbabc6 (このIDを非表示/違反報告)
みのよせ(プロフ) - 京羽さん» 楽しみにしてます!!このお話読んでたら、BIG SITY RODEOでこんなにも沿っててんで、内容も濃くてほんまに凄いと思っています!!語彙力無くてすみません…これからも頑張って下さい!! (2017年12月12日 12時) (レス) id: c92c0a9bd5 (このIDを非表示/違反報告)
京羽(プロフ) - みのよせさん» 誤字の指摘ありがとうございました! オチについてはめちゃくちゃ悩んでます! 佐野さんの過去も楽しみにしていただけたら嬉しいです! (2017年12月11日 17時) (レス) id: 25532f7237 (このIDを非表示/違反報告)
みのよせ(プロフ) - あの、突然すみません!!No.46だけかも知れませんがゆっぴの裕が祐になってます!このお話大好きで楽しみながら読ませてもらってます!!あ、オチは玲於でお願いします。あの可愛いれおたんが喜ぶとこを見たいだけです(笑)←これからも頑張って下さい!! (2017年12月10日 23時) (レス) id: c92c0a9bd5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:京羽 | 作成日時:2017年10月18日 16時