CROWN No.30 ページ30
‥
裕太「やらかしたわ……」
隼「いいって、裕太くんがそんなこと思わなくても」
Aちゃんは、今俺に抱えられてすやすやと寝ている。
いや、 "失神した" と言う言い方のほうが正しいかも。
すやすやと失神……変か。
俺らのせいで昼ご飯抜いちゃったし、亜嵐くんによれば、夜も迎えに行くまで起きてたみたいだし。
いきなりわけ解んないパーティーに引きずり込まれちゃってずっと緊張してたみたいだし。
疲れが、どっと出たのかもしれない。
"CROWN" は、 "BIG CITY RODEO" 開催中いかなる人でもいかなる理由があっても手出し禁止。
それは、 "CROWN" と言う身分を持つ女がパーティー中 "見せ物になる" から。
何故 "CROWN" を作ったか? さあね。
腕の中で、歩く度に揺れるAちゃん。
青ざめた顔。
きっと、色々無理もしてたのかもしれない。
亜嵐くん達に何て言おうかな。
裕太「怯えてたよな……俺見て」
隼「まあ、それは……そうかもだけど」
裕太くんを見て、明らかに怯えていたAちゃん。
クールで、どんだけ俺らが優しくしても『綺麗だ』って言っても、表情ひとつ変えなかったAちゃん。
あの時だけは、ひとりの女の子だった。
俺の服を指先で弱々しく掴んで、ぷるぷると我慢しきれない恐怖を必死で抑えて震えていた。
隼「あいつ、どうするの?」
裕太「当たり前のこと訊かんといて。
どうせあそこやろ、 "
『そっかあ』なんて。
上手く話は逸らせたかな?
裕太くんは、自分の、さっき見せたような醜い気性を嫌っているから。
隼「ここでいいかな……」
裕太「わーお、隼の
隼「裕太くんとこは青だっけ?」
裕太「せやで?」
隼「使わないのにねー」
裕太「なー」
ベールをひょいと避けて、まだ1度も使ったことのないベッドにAちゃんを寝かせる。
起きた時、独房よりかは幾分マシだよね。
枕に頭を丁寧に乗せる。
Aちゃんの体から手が離れると、Aちゃんは顔をしかめて呻いた。
俺と裕太くんが慌てたのも束の間、すぐ元の寝顔に戻る。
裕太「しばらく寝かせとくかー」
隼「そうだね」
部屋を出る時、1度だけ中を振り返った。
思わずその瞬間、俺はぎょっとして固まってしまった。
……Aちゃんの目の端から、ひと筋の涙が零れたから。
‥
1753人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ピヨコ - はじめまして!!いつも作品を読ませてもらっています。本当にこの作品が面白くて読むのがとても楽しいです!ちなみに私は涼太君オチがいいです。これからも頑張ってください!! (2020年3月11日 21時) (レス) id: eb22d40d8e (このIDを非表示/違反報告)
じゅり - 今までにないストーリーに感動!とても面白いですね(*^ω^*) (2018年2月21日 15時) (レス) id: f641cbabc6 (このIDを非表示/違反報告)
みのよせ(プロフ) - 京羽さん» 楽しみにしてます!!このお話読んでたら、BIG SITY RODEOでこんなにも沿っててんで、内容も濃くてほんまに凄いと思っています!!語彙力無くてすみません…これからも頑張って下さい!! (2017年12月12日 12時) (レス) id: c92c0a9bd5 (このIDを非表示/違反報告)
京羽(プロフ) - みのよせさん» 誤字の指摘ありがとうございました! オチについてはめちゃくちゃ悩んでます! 佐野さんの過去も楽しみにしていただけたら嬉しいです! (2017年12月11日 17時) (レス) id: 25532f7237 (このIDを非表示/違反報告)
みのよせ(プロフ) - あの、突然すみません!!No.46だけかも知れませんがゆっぴの裕が祐になってます!このお話大好きで楽しみながら読ませてもらってます!!あ、オチは玲於でお願いします。あの可愛いれおたんが喜ぶとこを見たいだけです(笑)←これからも頑張って下さい!! (2017年12月10日 23時) (レス) id: c92c0a9bd5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:京羽 | 作成日時:2017年10月18日 16時