CROWN No.28 ページ28
‥
男は私の髪と首から手を離さないまま。
隼と裕太に焦りを隠しきれていない笑顔を見せる。
私はと言えば、息が整うにはまだ時間がかかるよう。
頭を隼達のほうに維持する元気もなくて仰向けに直れば、男の顔が下から見える。
隼「 "CROWN" 、返してよ？」
男「……」
裕太「おーい」
どうも、隼の感情が上手く解らない。
あっけらかんと笑顔で裕太に話しかけたかと思えば、今度は驚くほど低い声色。
……目の前で、人が殺されるかもしれないと言う、のに。
裕太「防犯カメラに、きっちり映ってんけどな。
お前が金庫こじ開けて札束持ち出してんのが」
男「それは、きっと誰かの陰謀なんですよ。
このご時世、動画の加工なんて誰でもできる」
裕太「……ここのセキュリティ上それができる環境にないの、判ってて言ってんのか？」
男「ふ、ふふ、そうに違いない。
"GENERATIONS" 専属スタッフだった私を妬む奴など、ごまんといますからね……」
隼「……思い込み病かな」
その男は、もう正気を保っていられないんだろう。
特に見てもいない私が感じ取っているのだから。
……彼らの全身から、無邪気ながらも鋭利な黒い殺気を。
裕太「……」
隼「ちょっ、裕太くん！」
隼が焦った声を出したから、思わずふたりに顔を向ける。
髪は相変わらず男の手で縛られているけど。
ものすごい形相を零した途端、裕太がゆらりと揺れた。
倒れる！ と思ったけど、裕太は……そのまま、こちらに向かって猛ダッシュしてきた。
『なっ……』と、男から声が漏れる。
その一瞬で、首と髪から離れる手。
引っ張られていたために少し浮いていた私の体は、完全に地に倒れ込んだ。
走ってきた勢いそのままに、裕太は男に横蹴りをキメた。
私の頭の上を、目の前を、彼の体が舞う。
身軽そうな姿勢とは裏腹に、重い音が響く。
ここは従業員でもめったに使わない場所なのだろうか？
男が裕太にふっ飛ばされて声を荒げても、誰ひとりとして出てくる気配がない。
男が起き上がる余裕を取らせることなく、裕太は男の元へ走り込んでいく。
隼は、ぼーっとふたりを見ている私に駆け寄って、優しく抱き起こしてくれた。
隼に背中を支えられるも、立ち上がることができなくて。
しばらくそのままでいることに。
その間、裕太の顔に私は恐怖をずっと感じていた。
‥
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ピヨコ - はじめまして！！いつも作品を読ませてもらっています。本当にこの作品が面白くて読むのがとても楽しいです！ちなみに私は涼太君オチがいいです。これからも頑張ってください！！ (2020年3月11日 21時) (
レス) id: eb22d40d8e (このIDを非表示/違反報告)
じゅり - 今までにないストーリーに感動！とても面白いですね(*^ω^*) (2018年2月21日 15時) (レス) id: f641cbabc6 (このIDを非表示/違反報告)
みのよせ(プロフ) - 京羽さん» 楽しみにしてます!!このお話読んでたら、BIG SITY RODEOでこんなにも沿っててんで、内容も濃くてほんまに凄いと思っています!!語彙力無くてすみません…これからも頑張って下さい!! (2017年12月12日 12時) (レス) id: c92c0a9bd5 (このIDを非表示/違反報告)
京羽(プロフ) - みのよせさん» 誤字の指摘ありがとうございました！ オチについてはめちゃくちゃ悩んでます！ 佐野さんの過去も楽しみにしていただけたら嬉しいです！ (2017年12月11日 17時) (レス) id: 25532f7237 (このIDを非表示/違反報告)
みのよせ(プロフ) - あの、突然すみません!!No.46だけかも知れませんがゆっぴの裕が祐になってます！このお話大好きで楽しみながら読ませてもらってます!!あ、オチは玲於でお願いします。あの可愛いれおたんが喜ぶとこを見たいだけです(笑)←これからも頑張って下さい!! (2017年12月10日 23時) (レス) id: c92c0a9bd5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：京羽 | 作成日時：2017年10月18日 16時
