CROWN No.38 ページ38
‥
足の踵を浮かしたり沈ませたりを繰り返しながら、小刻みに腕を動かしている亜嵐。
こちらにはまだ気づいていないみたいで、ずっと視線を下に向けている。
ヘッドフォンを手で支えながら、含み笑いをする。
『俺が支配している』とでも言わんばかりに。
周りにいる群衆はそんなことには気づかずに、ただ本能のままに腰を振ることをやめない。
亜嵐の導くDJの上で転がされていることになど、おそらく一生気づかない。
衰えを、終わりを、見せることなく続く亜嵐のDJパフォーマンス。
裕太が小声で、『自称 "DJ ALAN" らしいで』と笑った。
そのままだな。
裕太「……罪状、"傷害罪" 」
不意に横から飛んできた、暗い声。
声の主に視線を投げれば、彼は少し暗い顔をした。
裕太「俺には弟がおってな。優しい弟や。
俺がバカやっても、笑ってくれてた」
A「……」
裕太「だけどな、あいつは……あの性格やったがために、
高校に入った直後からイジメを受けるようになってん」
普通のバカちゃうねんで、俺。
ただ単にあいつの兄貴って立場に座ってただけちゃう。
高校に入ってから、日に日に青くなる肌。
痩せこけていく頬。
鞄や制服、靴だって、1年も経ってないのに、ありえんスピードでズタボロになっていく。
笑顔が無理に作られるようになったことに、俺が気づかんとでも思ったんやろうか。
弟が生まれてから16年間もあの笑顔を見て、変化に気づかんわけがない。
絶対、何かが起きている。
裕太「高校に入った年の冬……あいつは自 殺したんや」
A「……!」
俺はその頃ふらふらしてた。
定職にはつかず、ずっと趣味だったダンスを続けてた。
ある日練習から帰ったら……1枚のメモ用紙だけがリビングのテーブルの上に置かれてた。
メモを見つけてからそう時間が経たないうちに、警察から連絡が入った。
弟は、学校の屋上から飛び降りた。
そこまで喋ってから、裕太は壁に寄りかかって項垂れた。
裕太「もう解るやろ。
……葬儀に来た弟のクラスメイトに打ち明けられた。
そのクラスにはスクールカーストがあって、誰もがトップの言いなりになってたらしい」
A「……」
裕太「葬儀飛び出したわ、思わず。
そいつ引きずって、奴らの溜まり場に乗り込んで。
……記憶ないねん、そん時の。
気づいたら手えは血塗れ、目の前に6人ぐらい死んだみたいに横たわってた」
‥
1753人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ピヨコ - はじめまして!!いつも作品を読ませてもらっています。本当にこの作品が面白くて読むのがとても楽しいです!ちなみに私は涼太君オチがいいです。これからも頑張ってください!! (2020年3月11日 21時) (レス) id: eb22d40d8e (このIDを非表示/違反報告)
じゅり - 今までにないストーリーに感動!とても面白いですね(*^ω^*) (2018年2月21日 15時) (レス) id: f641cbabc6 (このIDを非表示/違反報告)
みのよせ(プロフ) - 京羽さん» 楽しみにしてます!!このお話読んでたら、BIG SITY RODEOでこんなにも沿っててんで、内容も濃くてほんまに凄いと思っています!!語彙力無くてすみません…これからも頑張って下さい!! (2017年12月12日 12時) (レス) id: c92c0a9bd5 (このIDを非表示/違反報告)
京羽(プロフ) - みのよせさん» 誤字の指摘ありがとうございました! オチについてはめちゃくちゃ悩んでます! 佐野さんの過去も楽しみにしていただけたら嬉しいです! (2017年12月11日 17時) (レス) id: 25532f7237 (このIDを非表示/違反報告)
みのよせ(プロフ) - あの、突然すみません!!No.46だけかも知れませんがゆっぴの裕が祐になってます!このお話大好きで楽しみながら読ませてもらってます!!あ、オチは玲於でお願いします。あの可愛いれおたんが喜ぶとこを見たいだけです(笑)←これからも頑張って下さい!! (2017年12月10日 23時) (レス) id: c92c0a9bd5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:京羽 | 作成日時:2017年10月18日 16時