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16部屋目 ページ16

「……律ー、っうわ、きったなぁ」

莉苑が落とした資料を拾い集めていると何をしに来たのか、瑠樺が顔を覗かせた。

「開口一番それかよ」

「現実じゃん。新しく入居者きたんでしょ?誰々。」

「……あ?莉苑所行けばいると思うぞ。まぁ、検査してなければの話だけど」

書類を集めて机の上に置く作業を繰り返していると瑠樺は「分かった、じゃーね」と言って医務室を出ていく。少しは拾うの手伝えよ。と言いたかったが言っても聞かなそうだからと放っておく。

「……あー、くそ。莉苑め、後でこきこき使ってやる」

書類をすべて集めて机の上に置くとマグカップをとり、コーヒーを淹れるために給湯室に向かう。そこでインスタントコーヒーの粉が入った瓶とクリープが入った瓶を取る。

「……餓鬼だと思ってたけど、瑠樺もでかくなったよなぁ。17年も経ったのか……」

粉をカップに入れながら17年前のことを思い出す。瑠樺は難産で生まれた子供だ。初めてのことばかりで詰め込んだ知識もすべてどこかに飛んであわあわしてる俺に一番辛いはずのカイから「狼狽えんじゃねぇ!」が飛んで来た。

「……思い出すと俺が一番情けなかった気がする」

はぁ、とため息を吐くと後ろから「俺のもコーヒーやってー」と玉城さんにのしかかられた。

「自分でやってください」

「疲れてる先輩には優しくするもんだぞー?律ー。後でめざしやるからさぁー」

「いらんです。ってか、疲れたって今日なんかありましたっけ?コール来てないですよね?」

「あー?ああ、カウンセリングだよ、カウンセリング。この前妊娠発覚した篠倉(ささくら)んとこのが来た。つらそうにしてるの見てたら自分も気分悪くなったーって」

「ああ、クーヴァード症候群(※)」

「そ。最近そういう相談が多くてよー、話聞くだけで俺が気持ち悪くなる……」

はぁー、と溜息をついた玉城さんが哀れに思えて大人しくコーヒーを淹れてやることにした。


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※クーヴァード症候群
男性のつわりとも

妻が妊娠すると男の体の調子が悪くなることをさす。子供が生まれると治まる。

ウィキを参考に

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腐女いちごう - 期待 (2017年4月29日 11時) (レス) id: 9a3b6eea55 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:リンネ | 作成日時:2017年2月3日 16時

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