今日、母親始めます【BL×オリジナル】 (ページ21)

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21部屋目ページ21

「やー、まってぇー」

「ままぁぁぁっ！」

公園の前を通ると小さな子供たちの声が聞こえた。足を止めて公園の方を見ると男の子達がかけっこをしたり、母親──男なのだが──に駆け寄ったりしている。

「……、……育てられるかな」

ぼそっと呟きサイズの大きいパーカーの腹部に触れる。

ごめん、子供は流石に無理

あの日、言われたことは今でも昨日のことのように思い出すことが出来る。彼氏と別れた原因でもある妊娠。子供を流して居なかったことにしたら、彼と元通りになるだろうかと何度も考えたことがある。
それでもこの子が生きているのは、彼のためだけに生命を殺すことを戸惑ったからなのか、それとも母性──性格には父性だろうか──本能が働いたからなのか。それはもうどうでも良いことだ。

「疲れた？」

「ううん、ちっちゃい子、可愛いなと思って」

そう言って歩き出すと莉苑君は「生まれてくる子供も絶対可愛いよ」と言った。

「……うん、ありがとう」

「疲れたら言ってね」

「うん」

莉苑君の言葉に頷いて、診察室に向かった。