18:飛んできた ページ18
目が覚めたとき、部屋に鳴り響くインターホンの音で頭痛がさらに悪化した。
「うるさい・・・」
ピンポンピンポンピンポン・・・って音が地味に脳に響く。おまけにドアノブをガチャガチャする音まで耳に入ってきた。だれだよ、うちの扉を壊そうとしてるのは。
ゆっくり起き上がって玄関まで行く。扉の穴から外をのぞくと、色素の薄い髪が目に入った。
帽子に眼鏡にマスクって、こういうときに見ると不審者にしか見えないな。借金の取り立てにでもきたのかな。
「近所迷惑だよ」
これ以上ガチャガチャピンポンされても困るのでドアを開けると、天がすごい勢いで飛び込んできた。
「A」
「うわっ」
その勢いのまま抱きしめられる。天の背後でドアがぴしゃりと閉まった。
「・・・どうした、天さん。甘えたくなったの」
ぎゅっと抱きしめられて、どうしていいかわからない。
熱があってよかった。男の子に抱きしめられるの初めてかもしれないよ。
「生きてて、よかった」
いや、いま死にそうなんだけど。
「もうあんなことしないで」
天の声が少しかすれている。
あんなことって、なんだっけ。ああ、メールのこと?
「天さんって冗談通じる人だよね」
「ばか」
さらに腕の力を強められて、物理的に死ぬかと思った。
でも確かに、冗談にしてはひどかったな。
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作者名:兎田夏 | 作成日時:2017年1月31日 20時