【アイナナ】天使vs天使、じゃないの？【九条天】 (ページ6)

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05：ファンレターページ6

現代の天使とリアル天使。Aは願っていなくても両者を比べる声は存在した。ネットの書き込みでは女版九条天だとか九条天には到底及ばないだとか、勝手に論争が繰り広げられていた。

「ありがとうございました！」

車から降りたユウリ、音葉、Aは、そろってマネージャーに挨拶をした。マネージャーが手を振って車ごと去っていくのを見送る。ここは八乙女事務所の前だ。

「よーし、ファンレター受け取りに行くよ！」

いつも以上に元気なユウリの姿にAが小さく笑う。午前中で仕事が終わり、今日は事務所にファンレターを受け取りに行って終わり、という予定だった。アイラビットはそろそろデビューして一か月が経つ。

「ユウリ先輩にファンレターが届いているかはわかりませんけど」
「え、なにか言った？音っち？」

相変わらずツンツンした音葉に、いつもこの展開だなあ、と思いながらAは二人のあとに続いた。Aはいつも控えめで、二人が行くところについて行って、二人がすることを見守るだけの存在だった。

「あれ、あの車ってTRIGGER先輩じゃない？」
「え」

三人が事務所に入ろうとすると、ユウリが急に声を上げた。彼女が指さすほうを見ると、黒いバンがこちらに向かってきていた。Aの背中に悪寒が走る。

「そういえば朝からドラマの撮影があったとかなかったとか噂で聞きましたよ」
「どっちだよ！」

音葉の曖昧な情報にユウリが突っ込む。その後ろでAは胸に手を当てて呼吸を落ち着かせていた。そうしている間に、バンは事務所の前に軽やかに止まった。

「ユ、ユウリ、ファンレター受け取りにいくんじゃないの」

Aがユウリの服の裾を軽く引っ張りながら促すと、ユウリは面白いものでもみつけたかのように満面の笑みで振り返った。

「TRIGGER先輩に挨拶してからでも遅くないよ！」
「ええ・・・」