検索窓
今日:11 hit、昨日:15 hit、合計:97,258 hit

38:変わっていくこと ページ39

「なに?」


沈黙を破ったのは天だった。Aはだいぶ緊張が解けたようで、もう震えてはいない。


「ドーナツ、ありがとうございました」


話すスピードが遅いように思っていたが、よく聞くと一つ一つの言葉を大切にしているような話し方に聞こえた。Aが口にすると、どんなささいなことでも重要なことに聞こえてくるから不思議だ。


「いえ、喜んでもらえたようでよかったです」


天が淡々と答える。
これ以上、Aに関わったらきっと自分はおかしくなってしまう。それがこわかった。


「あの、この前は、すみませんでした」


しかし、Aが先日のことを口にしたので、天は嫌でもあの日のことを思い出してしまった。少し距離が近づいたと思いこんで、手を伸ばしてしまったことを覚えている。その手が振り払われたことも。


「びっくりして、九条さんのこと、怒らせてしまって」
「怒ってない」


すかさず否定した。はたから見たら今もだいぶ怒っているように見えるだろう。


「そ、そうですよね」


Aは天の反応に、身を固めた。本当に怯えられている。

39:笑顔→←37:沈黙を破って



目次へ作品を作る
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (86 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
157人がお気に入り
設定タグ:アイナナ , 九条天 , 夢小説
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:兎田夏 | 作成日時:2016年12月20日 14時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。