今日:12 hit、昨日:15 hit、合計:97,259 hit
小|中|大
21:冷めることない熱 ページ22
楽屋の中。
天の目の前には背を向けたAが立っている。彼女は白いワンピースを着ているが、その背中はファスナーが途中でとまっている状態で、ちらっとワンピースの中が見えた。
ファスナーをつまんで上げる。
「はい」
「ありがとうございます」
「いえ」
なぜかいつもより返答が速くなる。
「お部屋貸してもらってすみませんでした」
Aが小さく頭を下げたのを見て、天は首を縦に振っただけだった。
彼女が音を立てずに楽屋の扉を閉めてでていくと、天はなぜか肩の力が抜けるような気がした。
―――― ―――― ―――― ――――
「あれ、さっきのAちゃん?」
Aがでていったすぐあとに、龍之介と楽が楽屋に戻ってきた。
「なんだ?」
楽も自分たちの楽屋からでてきたAに疑問を持ったようだ。
天はそんな二人と目を合わせようとしない。
「重度の方向音痴」
「あ?」
天がぼそっと口にした言葉に、楽が不思議でならないといった感じで天を見る。
「・・・手がかかる」
天は俯いたままそれ以上何も話さなかった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます
157人がお気に入り
157人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:兎田夏 | 作成日時:2016年12月20日 14時