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79:消えないで ページ40
天は事務所のロビーに入ってその声に気づいた。だれかが騒いでいる。何事かと思ったが、よく聞くと知っている声だった。
走って声のするほうへ行くと、
「ユウリ!ユウリ・・・!」
「どうしたの!?」
Aがユウリの体を揺すりながら泣いていた。ユウリは目をつぶったまま動かない。
「ユウリが・・・! ユウリッ! しっかりしてっ」
Aはパニックになっている。慌ててAをユウリから引きはがす。どういう状態かわからないだけに、むやみに体を動かすのは危険だろう。
「落ち着いて、救急車」
彼女にそう伝えて、ユウリの様子を見ようと思ったが、スマホをとりだしたAの手が大きく震えているのに気づいてやめる。そんな状態で電話をさせるわけにいかない。
「待って、ボクが呼ぶから。君は彼女についてて」
「は、い」
Aは震える手を押さえてユウリの隣にぺたんと座りこんだ。
天はAとユウリから目を離さないようにして救急車を呼んだ。
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作者名:兎田夏 | 作成日時:2017年1月1日 0時