【アイナナ】天使vs天使、じゃないの？？【九条天】 (ページ34)

今日:17 hit、昨日:24 hit、合計:92,790 hit

73：キミのSOS ページ34

TRIGGERが仕事を終えて事務所に戻ると、事務所が少しざわついていた。

天はAから着信が入っていることに気づいてからそこのことしか頭になかった。移動中もずっとかけなおしていたが、Aは電話にでない。天から連絡を取る前に、まさかAからかけてくるとは思っていなかったので、何かあったのかと心配になる。いつでも連絡がとれると思っていたのに、これでは今までと何も変わらない。

遅れてやってきた楽が慌ただしく社長室の扉を開けた。

「桜井が倒れたらしい」
「！！」

Aからの連絡を待っていた天は、思わず立ち上がった。

頭の中が真っ白になる。楽が話している声がぼんやりと聞こえる。
一人でステージに立ったAは、アイラビットのデビュー曲を完璧に歌い切り、ステージを降りた途端倒れた。

―― 一人で？

「行ってくる」

天が部屋を飛び出そうとすると、

「おい、天！」

楽が呼び止めた。
こんなときになんだ、と思いながら振り返ると、楽が一枚の紙を手渡す。

「忘れ物だ」

そこには病院の場所が記してあった。
目的地もわからずに走り出してどこへいくつもりだったんだろう。

「ありがとう」

Aのもとへ行きたい気持ちは確かだった。