【アイナナ】天使vs天使、じゃないの？？【九条天】 (ページ11)

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50：涙もでないページ11

「なんでこの仕事を引き受けたの」

何を言っても顔を上げないので天は語気を強めた。

「九条さんが、受けると聞いたので」

Aの返答に、天は呆れて思わず目を瞑る。はあ、と深いため息を吐く。

「自分の意志で仕事をして。笑えないのに隣に立たれても困る」

言ってから、また泣くか、と思ったが、Aは泣かなかった。

「どうしたら笑えますか」

代わりにそんなことを聞いてくる。それは天が聞きたいくらいだ。

「何が不安なの」

Aが不安に思っていることは知っていた。その原因も、おそらく。

「・・・・・・」
「言って。言ってくれないとわからない」

今日のAなら少しぐらい追い詰めても大丈夫だろう。天がじっと返答を待つと、

「ゆ」

Aが小さく口を開いた。

「ユウリが」

そこまで言ってまた口ごもる。もうそこまで言ったら天が言っても同じだ。

「来てないんでしょ」

言葉の続きを天が口にすると、Aは一瞬固まってから首を縦に振った。

「それだけ？」
「それ、だけ・・・？」

天は、悩みはユウリのことだけか、と確認したかった。ほかに重荷になっていることはないか。たとえば、天のことでまた悩んだりしていないか。それを確認したかっただけなのに、Aには違う意味で伝わってしまったらしい。目を見開いて彼を見上げている。