【アイナナ】天使vs天使、じゃないの？？【九条天】 (ページ1)

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40：二人のドーナツパーティページ1

よく晴れた土曜日の昼下がり。

Aと天は二人で公園のベンチに座っていた。もちろん二人の膝にはドーナツの箱がある。

「おいしいです」

天の隣でドーナツを頬張るAは、相変わらず幸せそうだ。

いつもは軽い変装しかしないAであるが、今日は違う。
天があらかじめ注意しておいたとおり、しっかり変装をしてきていた。マスク・・・は取っているが、帽子と眼鏡をしっかりと装備している。前回休日に会ったときの清楚なワンピース姿とは違い、今日はパーカーのワンピースを着ていた。髪をまとめているせいか、遠目に見れば美少年にも見える。

「ボクのも食べる？」

Aがあまりにもおいしそうに食べるので自分の分を進めると、彼女は小さく首を振った。

「い、いいです。九条さんが自分で食べて、ください」
「・・・そう」

聞いたことがあるセリフだな、と思ったら、天がAに言ったものと同じだった。自分で言ったときはなんとも思わなかったが、人から言われるとなんだか寂しい気持ちになる。

「よかったら、交換、しますか？」

天が黙り込んだせいか、Aが小さく提案した。

「うん」

――ほんとに単純。

ただ二人で並んでドーナツを食べているだけなのに、天は嬉しかった。Aが逃げずに隣にいるからだ。