【アイナナ】天使vs天使、じゃないの？？【九条天】 (ページ47)

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86：霧のようにページ47

客席が騒然としている中、Aはステージを去っていった。

――解散？

天はしばらく頭が働かなかった。

そして、はっとして慌てて外へ出る。

走ってアイラビットがいるはずの楽屋に向かうが、そこにはだれもいない。

ステージから降りたはずのAはどこへ行った？

まだそんなに時間は経っていないから、どこかにいるはずだ。
会って伝えたいことがあった。ライブが終わったら伝えようとしていた。

走りながらAに電話をかける。

『おかけになった電話番号は電源が入っていないか――』

そんな馬鹿な。

「なんで」

どうして避ける必要がある？
明日からアイラビットでなくなるのに、どうやって会えばいいというんだ。
一方的に「聞いてほしい」なんて言って、そのまま消えるなんてありえない。
まだ天の気持ちを伝えていない。

「A」

つながらない電話の向こうに呼びかける。

Aはそのまま天の前から消えた。