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98：泣き顔 ページ3
「どうして」
「好きだから。Aにとっては気持ち悪いみたいだけど」
まだ根に持ってるし。
気持ち悪かったよ。
最初にその言葉を聞いたときは。
「助けてくれてありがとう。あのときのAにはきっと伝わってなかった。でもほんとにありがとう」
天はわたしの目をまっすぐ見た。
そして優しく笑う。
「ごめんね、こういうこというとまた怒るだろうけど、ボクAの泣き顔が好きみたい。最初に見たときから」
もう怒ってるよ。
泣き顔が好きって言われて喜べるわけないでしょ。
「あと、ためらいもなくひどいことばっかり言ってくるところもね」
「それは天も人のこと言えないから」
涙を拭って冷たくそう返すと、なぜか天は笑っていた。
ほんとにもう。面倒なやつに好かれてしまった。
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作者名：兎田夏
| 作成日時：2017年4月9日 20時
