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54:しゃしん ページ6

(天side)


「ほら、できたよ」

「てん、ありがとー! かわいい?」

「うん、かわいい。よかったね」


かわいいに決まってる。

お母さんからのお土産なんだって。
朝、事務所に来たらAが走ってきて嬉しそうに教えてくれた。
これでAの寂しさが少しでも和らげばいいな。


「せっかくだからお父さんとお母さんに写真を送ってあげたらどうかな」


Aがくるくる回ってはしゃいでいるのを見た龍が、そんな提案をした。
写真か。


「いいな、それ」


楽も頷いてさっそくスマホを取り出す。


「てんもいっしょにうつる?」


すると、Aがボクの手をとって引っ張ってきた。


「いいの?」

「うん! りゅうとがっくーも!」


Aはボクの手を引いて楽と龍のもとに歩き出した。
え、三人でうつるの・・・


「だれが撮るんだよ」


楽が困ってるけど、そういう問題じゃない。
仕事では普通にあるけど、プライベートで、しかも三人一緒に写真を撮るなんて、したことない。


「俺が撮るよ。ほら、みんな集まって」


こういうの好きそうだもんね、龍は。


「うわーい!」


まあ、いいけど。Aが楽しそうだから。




四人で撮った写真をお母さんに送ったAは、しばらくいつもよりテンションが高かった。
・・・楽、あとでその写真ボクのほうにも送っておいて。

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作者名:兎田夏 | 作成日時:2017年3月29日 21時

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