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74：おうじさま ページ27
「美しいお嬢さん、よろしければ俺と一緒に踊ってくれませんか」
Aの前で跪いて片手を差し出す。
「はい！」
Aは元気に頷いて俺の手をとった。小さい手だな。
「Aかわいい。どうしたら楽を消せるんだろう。ね、龍、魔法で楽だけ消せないの」
「ごめん、そんな魔法は使えないな」
「やっぱりボクが王子様役したかった」
全部聞こえてんだよ。
Aの手をとってダンスの代わりに腕をゆらゆら横に揺らして遊んでいると、Aが小さく首を傾げた。
「がっくー、Aかわいい？」
「ああ、まあそれなりにな」
普段とほとんど変わらないけどな。
「それなりってなに？ かわいいの？ がっくーはAのことすき？」
急にそんなこと言われても困る。
でもAは必死だ。
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作者名：兎田夏
| 作成日時：2017年3月29日 21時
