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第11話 ページ21

「あ、でも聞いてください。今度外出許可出たんです!」

「そうなんだ。そりゃ良かった」

「久しぶりに、お買い物に行きたいんです。…でも、お兄ちゃん、その日撮影があるって言って……、私一人になるなら、人の多い場所には行かせられないって…」

「……」

しょぼん、とするAを見て、これは遠回しに俺を誘ってるのではないだろうか、と錯覚してしまう。

「因みにいつ?…俺でよければ、一緒に行こっか?」

いきなり図々しいような気もしたけれど、心よりも体の方が先に行動を起こしていた。
Aは俺の顔をじっと見てから、コクコクと縦に頷いて返事をくれる。

「ホントですか?!明後日なんですけど、…大丈夫ですか?」

「明後日ね。夜から仕事だから、日中なら平気。じゃあ、中島に伝えておくよ。Aちゃんも一応話しといて」

「はい!ホント、ありがとうございます、菊池さん」

先程までのしょんぼり顔は何処かに消えて、嬉しそうに喜んでいるAを見ながら俺も嬉しくなる。
こういう形とはいえ、Aと2人でデートに行けるのだから。

「ねぇ、1個お願いしてもいい?」

「はい、なんでしょう?」

「俺の事、名前で呼んで。明後日の、デートする時には、……ね?」

俺からのお願いを聞いたAはキョトンと俺を見つめてから、カァと頬を赤らめて「ふ、う、ま?」なんて口パクで練習し始めた。
そんな姿が付き合い当初のAの姿と被って、俺は思わず顔を背けてしまった。





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作者名:ルイ | 作成日時:2019年5月26日 20時

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