ドラケンの弟、チェシャ猫志望 (ページ4)

今日:2 hit、昨日:0 hit、合計:43,042 hit

友との再会、笑う猫ページ4

一瞬で半間と30人をノした姿を見て何かを窺うように隠れていた男は慌てて上着を脱ぎ捨てた。

男ーー場地圭介は東卍を裏切り、芭流覇羅に籍を置いた身であった。しかし、実のところ場地は東卍を裏切ったわけではなかった。
彼は自らの身を敵対組織に置く危険も顧みず、稀咲鉄太を東卍から追い出すために稀咲の企みを暴き、その悪事を白日のもとに晒そうとしていたのだ。全ては自身の宝である東卍のメンバーを守るために。

『んーと、あとひーふーみー……3人かにゃ？4人？脱いどるし1人は見逃そっか。……つーか楽勝すぎ、ホントにケンチャンが苦戦してたの？接待試合かなんかにゃん？』

軽く2人をノしつつ呟く。
場地は降参したと思われたのか、手を出されることはなさそうだった。

そして一虎の前に立って、

『……あん、？』
「努……」
『……少年院(ネンショー)出とったんなら言ってくれてもいーんじゃにゃーの？カズチャン』

親しげに話しかけた。

『カズチャンさァ、俺様がどんだけ心配しとったか分かってにゃーでしょ？』
「…、ごめん……」

さっきまで意気揚々とマイキーに相対していたとは思えないほどしょぼくれる一虎を見て、マイキーは益々困惑した。
なぜこの衛憂伶架の男がケンチンの名前を知っていて、一虎と親しげに話しているのか全くわからなかった。

『おみゃーがヒトをぶん殴って怪我させてもーて少年院入ったって聞いてめっちゃビビったんだからにゃあ。手紙の返事はかえってこにゃーし、連絡はにゃーし』
「だって、マイキーの兄貴に怪我させちまった俺が、何も知らねぇオマエに頼るのはちげーだろ……
それに、マイキーたちに助けを求めんのはもっと違う。…………きっと俺はマイキーに嫌われた、から…」
『でもその結果思い詰めちまえば世話にゃーだろ、ばか。それに、おみゃーは思い込みが激しいとこあんだから勘違いしてるかもしれにゃあだろーが』
「……そんなわけ…っ………」
「一虎。俺、怒ってないよ」

話を聞いていたマイキーが静かな声音で話しかけた。

「確かにさ、最初聞いたときはシンイチローに手ェ出しやがってってキレたし、殺してやろうと思ったけど。でも、場地が止めてくれたんだ。一虎は俺に喜んで欲しくてやったんだって」
「……場地……ッ」

マイキーがにこりと笑う。あの頃と同じ顔で、声で。

「戻ってこいよ、一虎。それに、場地も。そこにいんだろ？…俺はお前らとまた一緒に馬鹿やりたい」

手を伸ばした。