紫色の、笑う猫 ページ2
後に“血のハロウィン”と呼ばれる大規模抗争。
その最中、それは起こった。
「……あ?」
半間修二は困惑していた。
自分たちの今いる廃車場に似つかわしくない声が響いたからである。
鈴を転がすような声とはこういう声の事を言うのだろう。
そう思うような軽やかで凛とした男とも女ともとれるような声。
その声がもう一度響いた。
先程よりも強く。
『ナァ、俺様 ケンチャン……龍宮寺堅が何処にいるか聞いてんだけど聞こえにゃかった?』
シャリン、涼やかな音を響かせ、少年が頭を傾げる。
朝焼けのようなピンクがかった淡い紫の髪に、ピンクのメッシュ。少し長めの襟足。猫のようなピーコックグリーンの瞳は美しく、桜色の唇は愛らしかった。
肩口まで襟のずり落ちた白いシャツに黒いタートルネック。首もとには紫色の猫のような形をした鈴が、耳元には金の小さな鈴が涼しげな音を響かせている。
思わず喧嘩の手を止めてしまうような天使の声が、この場にいる誰もが知っている男の名を呼んだ。
龍宮寺堅。通称ドラケン。東京卍會の副総長を務める男。
今まさに半間と殴りあっていた相手でもある。
アイツの事を知っているのかと、視線を投げ掛ければ龍宮寺の驚いた顔が目にはいる。
「……ゆ、め?」
ああ、あの天使の名は“ゆめ”というのか。
この場の不良どもの気持ちは一致した。
しかし、2人の男だけは他とは違った理由で目を見開いていた。
「あの紫の鈴、
佐野万次郎。通称マイキー。東京卍會の総長。
無敵とすら揶揄される彼と相対していた羽宮一虎は驚いた様子を見せた。
「衛憂伶架の、“ゆめ”?
“ゆめ”って、努のことか……?」
「……知ってんの?」
一虎が頷こうとしたとき、怒号が響いた。
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作者名:冰音(ひょうと) | 作成日時:2021年6月24日 1時