飴色に溶ける (ページ5)

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下を向いて思わず
ぎゅっと目を瞑ってしまう

あぁもう、いつもの悪い癖。

わかっているのにやめられないのは
どうしてなんだろう。

そう思った時、

誰かにトントン、と肩を叩かれた。

「わっ」

本日二回目の動作だというのに
変な声が出た、ちっとも慣れない。

勝「‥やっとみつけたAちゃん」

「え、」

後ろを振り返ってみれば
いるはずのない話の話題の佐藤くんがいて、
気まずいようななんとも言えない気持ち

ちら、ともう一度顔を見たら目が合って
思わずその綺麗な瞳に吸い込まれそうになる。

私の驚いた顔と目の前の集団を交互に
チラチラとみて少し困ったような顔をした

勝「ごめんね、お取り込み中？」

そう言われて私も前の集団に目をやれば
みんな何とも言えない顔をしていた。

勝「でもごめん、先生に学級委員の俺ら
　職員室呼ばれてるんだ。早くいかないと
　俺怒られちゃう、いこ？」

そう手招きされてしまえば、
藁にもすがるような思いでついていく

彼女たちは結局何も言ってこなかった

話の途中で申し訳ないことをしたなって
思うけどそれと同時にホッとした。

自分じゃなんとかできる気しなかったから

そう思いながら
佐藤くんの後ろについていけば、
職員室とは反対方向に進んでいく

しかもずっと黙りっぱなしだから

なんだ変だなって思わず声をかけてしまった

「あの、」

勝「ん？」

「先生に呼ばれてるんじゃ‥」

勝「あー‥嘘」

困ったように右手を頭の後ろにやって
また困ったように笑った。

「へ」

勝「嘘、だったのあれ‥ごめん」

小動物のようなシュン‥と
効果音がつきそうな

いつもよりも可愛らしい顔で
言われてしまえば黙るほかない、

勝「内容は聞こえなかったんだけど
　なんか困ってそうだなって思ったんだけど
　 ‥‥もしかして勘違い？」

「勘違いじゃ‥ない」

気づいてくれたことに嬉しい気持ちとか
目の前の佐藤くんの表情に動かされる気持ちとか
全部ぐるぐるしてなんとか出た言葉。

勝「そうなの？」

そうほっとしたように笑うから私も笑った

「うん、ありがとう佐藤くん」

そう私がお礼を言えばちょっと曇る彼の顔

勝「勝利‥って呼んでって言ったじゃん」

「え？それそんなに大事？」

こだわる理由が分からなくて、
でもなんだかすねているのが可愛いかった