拾陸話:第7特殊消防隊の無能力少女。 ページ18
・*・*・
『…っっ……』
「…相変わらず、その癖は抜けねぇみたいだな。」
隊長は橋に背もたれを預け、静かに私を見つめた。
『……え、っ…?』
堪えていた涙が、目尻から頬を伝ってポタポタと零れ落ちる。
「そんな感じだと、今まで自覚してなかったみたいだな。」
「…お前、浅草の奴が焔ビトになったっつー報告聞く度にいつも泣きそうな顔してんだよ。」
『え……、』
屯所の奴らなんて、ほぼ全員そんなのとっくに知ってるぞ。と呆れるようにため息をついた。
『(な、何で…。私、誰もいない時とかに泣くようにしてたのに…;;)』
私は驚いて声が出ずに固まっていると、新門大隊長は
橋下の川を静かに見つめた…。
頑張って悲しい気持ちを抑えようとしても、どうしても、いつも…堪えられなくて涙が零れ落ちてしまう…
…こういう所だろう。私が“弱い”というのは。
第7火消しは、皆んな優しくてそれでいて強い。
他の特殊消防隊をあまり見たことがない所為もあるかもしれないけど…、皆んな慈愛の心で満ち溢れている…。
ヒカちゃんとヒナちゃんだって、まだあんなに小さいのに焔ビトになってしまった人達と戦って…。
なのに…なのに私は、何も出来ずにただ呆然と立ち尽くしてるか、焔ビト化し鎮魂された人の死を哀れむ、ただの何も出来ないクソ人間じゃないっ…!!
『……隊長。』
「…何だ。」
私は、ずっと前から悩んでいた事を打ち明けることに決めた。
『っ私は…本当に、第7にいていいのでしょうか…』
「…………あァ?」
何言ってんだこいつっていう顔をする新門大隊長。
正直、この人は私のことが嫌いだと思うから、こんなことを聞けば……。
すぐに返答を返すかと思ったら、何も言わずに黙り込む隊長。
『ごめん…なさい。新門大隊長…。こんなこと、突然聞けば怒られるのは重々分かってます…
でもっ…!私も自分にけじめをつけたかったんです!!!』
合わせる顔が無いのも分かりながらも、私は今までずっと悩んでいたことを明かした…。
『…私は、“無能力者”です。発火能力が使える第三世代の生まれなのに…。なんの役にも立てなくて…
唯一、私が役に立てるのは、紺炉さんに叩き込まれた家事全般と体術、剣術…それぐらいで…』
『……っ特殊消防隊は、焔ビトになってしまった人達を助ける…鎮魂してあげるのがお仕事です…。
なのに私は…私はっ……』
「……せ…ぇ……」
「うるっせェって言ってんだッッッ!!!!!!」
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環 - 笑ったりキュンキュンしたりでとても楽しい作品ですね…!作者様のこと、大好きです!((は ずっと応援してます!一生!しんでも!紅丸と作者様大好きですぅぅぅ紅丸グッズ欲しいぃぃ((殴殴 (2020年7月12日 22時) (レス) id: d54dba2782 (このIDを非表示/違反報告)
みだり - イルカさん» それな (2020年2月7日 23時) (レス) id: 2ec1bda221 (このIDを非表示/違反報告)
イルカ(プロフ) - 下の名前で呼ぶ話、大好きなんですよ!ぐわってなってぎゅんってなります!Twitterやってないのでフォロー出来ないのですが小説だけで、応援、頑張ります!あぁぁ!今日も推しが尊い! (2020年2月1日 19時) (レス) id: 55fd3da7df (このIDを非表示/違反報告)
(名前)乙女(プロフ) - カリスから乙女になりました。乙女です、やっぱ紅ちゃんになると日本っぽい名前が良いなと思い変えました(汗)Twitterフォローさせて頂きました!応援しています! (2020年2月1日 17時) (レス) id: 5783622537 (このIDを非表示/違反報告)
おれお(プロフ) - Twitterフォローさせていただきました!!これからも応援しています(*^^*) (2020年2月1日 16時) (レス) id: b49044ef37 (このIDを非表示/違反報告)
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作成日時:2020年1月22日 0時