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伏黒恵side


交流会が終わり、滞在していた京都の人達も今日で帰る。

特級呪霊の乱入など、慌しかったこの数日。

それもようやく収まると少し安堵した。


食堂でひとりで飯を食っていると、目の前にひとつの影が落ちた。

「昼食、ご一緒してもいい?伏黒君」

凛とした、よく通る声。

禪院蛍だ。


禪院蛍は、団体戦での襲撃で、呪詛師と戦ったと聞いている。

俺を含めて何人も重い怪我を負ったのに対し、彼女は無傷。

現1級呪術師は伊達じゃないということか。


真希さんの様子も見るに、警戒は解けない相手だが、断る理由もない。

「……どうぞ」

「ありがとう」

俺の目の前の席に腰を下ろした。

彼女のトレーには、食堂ではメジャーな白米、味噌汁、焼き魚、卵焼きと漬物が載っている。

「いただきます」


しばらく互いに無言で食べ進める。

俺は、食事はなるべくひとりでしたい派だ。

人が多い飲食店とかは落ち着かねぇし、近くの客の咀嚼音がデカかったら地獄。


だけど蛍さんは、咀嚼音という咀嚼音はほとんど立てない。

食べ方も箸の使い方も綺麗だし、背景に老舗の料亭でも浮かんできそうだ。

考えてみれば、五条先生も行儀は悪いけど食い方は綺麗だ。

育ちがいい人の共通点かもしれない。

特に蛍さんは、ザ・お嬢様という風格がある。


不意に、目が合った。

「京都校の食堂は味が微妙に違うけど、ここも美味しいね」

「そうですね」

「ふふっ。敬語はやめてよ。同い年じゃない」

口元に手を当てながら、クスクスと笑う。

「そういえば、怪我は大丈夫?野球はできていたみたいだけど」

「……大したものじゃなかったですよ」

「だからやめてって」

そうは言われても、タメ口で話せるような仲じゃない。

食べながらも、蛍さんは黙って俺を見つめてくる。

「何ですか?」

交流会の間も、蛍さんからは何度か視線を感じた。

初めは俺が禪院家の血筋だからかと思っていたが、そうでもない気がする。


「いやぁ、別に。ただ、そっくりだな、と思って」

「?」

「君、お父さんによく似てるよ」

「!俺の父親を知ってるんですか?」

「禪院家では、君のお父さんを知らない人のほうが少ないよ。私は、実際に会ったことはないけど」

五条先生に初めて会ったときだ。

同じことを言われた。

俺は、自分の父親のことは心底どうでもいい。

恵なんて名前つけて、子どもを捨てた男に興味は湧かない。

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zyunri(プロフ) - こはさん» コメントありがとうございます!更新まで、もう少しだけ待っていてください!頑張ります! (2023年4月20日 20時) (レス) id: 8124b8ac06 (このIDを非表示/違反報告)
こは - 更新楽しみにして待っときます (2023年4月8日 11時) (レス) @page44 id: b559896119 (このIDを非表示/違反報告)
うおまわり(プロフ) - zyunriさん» はい!楽しみに待ってます(*´︶`*) (2023年3月29日 15時) (レス) id: 13372335d3 (このIDを非表示/違反報告)
zyunri(プロフ) - うおまわりさん» コメントありがとうございます!大好き……嬉しすぎて泣いてしまいます……!続編もお楽しみに (2023年3月29日 14時) (レス) id: 8124b8ac06 (このIDを非表示/違反報告)
うおまわり(プロフ) - めっちゃんこ大好き… (2023年3月29日 12時) (レス) id: 13372335d3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:zyunri | 作成日時:2022年9月9日 15時

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