34.通ってきた道 ページ34
「ちゅん、ちゅん」
どこにでもいる茶色と黒色の小さな鳥が、煤だらけの地面に落ちたプラスチックの破片や釘を嘴でつついている。
なかには加工され甘くなり、生命には無害なものがある。けして口にして良いものではないが。
凹凸の激しい壁から突き出たパイプのような煙突のようなものから、灰色や白の水蒸気が上がっている。
こちらは違法と定められた有害物質の排気ガスもあれば、浄化されたクリーンなガスもある。
法律は工場を制するが、工場は法律に隠れ、潜む。
工場は数百、いや、何万という数がビルドーにはある。
国は人体より都市の発展を優先させる。犠牲に心を傷めるのは表面だけの出来事なのだろう。
リエは煤けた白衣と、女っぽさのない青色のだぼだぼのズボン、ヒールの少し入ったプラスチックの靴を身に着けていた。
真っ黒な髪の毛は頭の上で適当にまとめられている。
邪魔にならないように、というポリシーだけでまとめられた髪の毛は乱れ、正式な場では笑われてしまいそうなものだ。
時刻は朝の5時。
まだ誰も出勤する時間ではないし、夜勤の人たちとも交代する時間ではない。
つまり、ビルドーの工業団地、ファーフ・オークションの周辺には誰もいなかった。
水蒸気と小鳥の音だけが響いている。
リエは立ち止まり、振り返った。
自分の通ってきた道には間違いがなかった。そう暫定するように。
いや、ひとつの確固たる信念をもった、冷酷な目をもって通ってきた道を振り返ったのだ。
リエは溜息をひとつつくこともなく、自分の会社へと歩みを進めた。
- 金 運: ★☆☆☆☆
- 恋愛運: ★★★☆☆
- 健康運: ★★★★★
- 全体運: ★★★☆☆
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革ベルト
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しまくろしるる(プロフ) - レイチェル・ハジェンズさん» はい、のんびり応援します!レイチェルさんも自分のペースで書いていってくださいねー (2016年11月27日 0時) (レス) id: 5ed7260065 (このIDを非表示/違反報告)
レイチェル・ハジェンズ(プロフ) - しまくろしるるさん» うぎゃー! しまくろしるるさん、御無沙汰しております。読んでくださり、ありがとうございます。頑張って書いていくので、楽しんで読んでもらえると嬉しいです。 (2016年11月25日 21時) (レス) id: f158aaa837 (このIDを非表示/違反報告)
しまくろしるる(プロフ) - 新作おめでとうございます!!すごく面白そうなので楽しみにしてます!! (2016年11月25日 20時) (レス) id: 5ed7260065 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:レイチェル・ハジェンズ | 作成日時:2016年11月24日 22時