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瑞月は私の腕を両手で強く抱き締める事を辞めずに懇願し続ける。
彼女が腕から離れる頃には作業着の左側が皺だらけになっているだろうと呑気に想像しながら。
「もちろん会費は男性陣が払ってくれるから無料だし!」
『私が無料に釣られるとでも思ってんの?』
「高級レストランだからめちゃくちゃ美味しいらしいよ?」
『……本当?』
何よりも食べる事が大好きな私を熟知しているだけあって瑞月は本当に人を操るのが上手い。
「マジマジ!」と麗しい程の笑顔を浮かべながら頷く瑞月は同性から見ても美人過ぎる。
「だから、ね?Aー、お願い!」
私の腕から離れ、両手を合わせお願いのポーズを取る瑞月は私にとって唯一無二の幼馴染み且つ親友で。
大切な人のお願いは、自分にとって苦手な事であってもやはり訊いて頷きたいと思う。
私の傍にいつも居てくれる瑞月に、少しでも恩返しが出来るのなら。
何度でも。
「そろそろ、一歩踏み出す時じゃない?」
「過去とサヨナラして、新しい恋愛をするべきだと思う」
瑞月は真剣な眼差しで明日を見据えるかのようにそっと呟く。
「例えAがまたボロボロになったとしても大丈夫」
「私がずっと傍にいるから」
"大丈夫"なんて言葉は信じていないけれど、瑞月の"大丈夫"はずっと信じてこれた。
今迄ずっと幾度となく、私を救ってくれたから。
『踏み出してみようかな』
『……私のこと、好きになってくれる人なんているかどうか分かんないけど』
私が恋愛出来ない理由は南京錠で塞がれていて。
長い間、誰の手にも触れられていなかった其れは錆び付いてしまい、中々開きそうもない。
鍵も開け方も疾うの昔に忘れてしまった恋を、
そっと優しく導いてくれる人が私の元へ現れてくれる事を、朱色に光り憂愁を秘めた此の空へと祈る。
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ami(プロフ) - YULYさん» こんばんは!あちらの作品読まさせていただきました!次の展開が気になって、ドキドキワクワクしてます! (2015年10月9日 19時) (レス) id: 420a20c751 (このIDを非表示/違反報告)
YULY(プロフ) - agnellaさん» agnella様、先日は此方と彼方にもご感想を下さって有難うございました♪agnella様から2つもご感想を頂いてとっても幸せです(照)パイロット内田さん、そして一途な内田さんをお好きになって頂いて大変嬉しいです♪新章でも宜しくお願い致しますね♪ (2015年10月9日 17時) (レス) id: 25f226d759 (このIDを非表示/違反報告)
YULY(プロフ) - amiさん» ami様、こんばんは♪先日も御丁寧にコメントを有難うございました(*´-`*)今夜は約1週間振りにあちらの作品を更新させて頂くので是非ご覧頂けたら幸いです。それでは、また♪ (2015年10月9日 17時) (レス) id: 25f226d759 (このIDを非表示/違反報告)
agnella(プロフ) - パイロット内田、かっこいいです!!!!!!!一途な内田さん、嫌いじゃないです(*^_^*) 続きが気になります。これからも頑張ってください。 (2015年10月5日 1時) (レス) id: 9be3da9e01 (このIDを非表示/違反報告)
ami(プロフ) - YULYさん» おはようございます!はい!読まさせていただいてます!こちらの作品の更新も楽しみにしてます!岳さん頑張って欲しいです! (2015年10月2日 8時) (レス) id: 420a20c751 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:YULY | 作成日時:2015年7月22日 6時