ちびりゅの病系短編集さーど

丈くんと ページ13

流星side







「お疲れ様でしたー」








外はもう真っ暗で帰宅ラッシュもすぎた頃、やっと雑誌の撮影が終わった。







ありがとうございました、と何度も腰をおりながら楽屋へ戻る。







「おつかれーー」








中には既に何人かが着替え終わっていて、荷物の数を見るにもう帰った人もおるみたい。








今残っているのは、さっきまで一緒に撮影しよったきょろちゃん。








それから着替えていた丈くんと大ちゃんの4人。








今日はなにやら予定があるのか恭平は急いで着替えて、おつかれっした、と嵐のように去っていった。








「流星、今日俺車やから送ってくわ」








丈くんにそう言われて時計を確認してみる。









あまり遅かったら、疲れてるのに申し訳ないから。








時計の短い針は9と10の間を指していた。








「や、もう遅いし電車まだあるから大丈夫ですよ？」







そう言って断ったのに。








「遅いから、やんけ」








なんて優しく笑う。








「いや、ほら、丈くんも疲れてるやないですか？」








「ええのー、俺が送りたいんやから送らせてや」








ほらはよ着替え、と丸め込まれて結局送ってくれることに…







そのやりとりを見てた大ちゃんはただ楽しそうに笑っとった。






じゃ、おつかれした、と大ちゃんが楽屋を出てから3分後、なんとか準備ができた。








「すいません、お待たせしました…」







そっとスマホをいじっている丈くんに近付く。







「よし、ほな帰ろか」







忘れ物ないー？なんて会話を交わしながらエレベーターへ向かう。








8階のここから階段で下りるのはさすがにきつい。









ぽーん、とエレベーターが開いてなんの迷いもなく2人並んで乗り込む。









この後に起こることも知らずに。

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