ちびりゅの病系短編集さーど

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正門side






「…ごめん、」








か細い声。







確かに俺はずっと気が気じゃなかった。








けど誰にも迷惑掛けてへんのやから責めることなんてできひん。








「…よぉ頑張ったんとちゃいますか」








だから、そう言って汗に濡れた髪を撫でた。








驚いたような瞳がタオルの端から覗いた。








それから、くしゃっと安心したようなはにかみ笑顔。









「…まさちゃん」








返事の代わりにそっと手を握る。








「…ありがとうね」









それはなんに対するありがとうなのか、俺には分からへん。







せやけど、それで流星が満足なら。








流星が笑顔になれるなら。








これからも多分俺は、何回でも流星を甘やかす。








可愛い弟。








彼のことならなんでも1番に気付いてあげたい。








1番頼れる存在でありたい。








グループが俺らを別つ今、ポジション的には隣とは言われへん。








でも、ホームは同じやねんから。








今はまだ、いつでも隣に行ってやれるから。








ステージが俺らを裂く日まで、流星を支え続けたい。









流星からの「まさちゃん」は俺にとって特別。







流星のテンションを教えてくれるし、俺の気分もあげてくれる。








それから、きっと流星のSOSでもある。








流星からしか呼ばれへんこの名前をいつまでもずっと彼だけのものにしといてあげたいなんて、ちょっとした独占欲を持ってみたり。









とにかく今は、この小さくて強い掌を安心させてあげられるようにきゅっと力を込めた。

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