金田一少年の事件N 〜鬼火島殺人事件 解決編〜

医者の子供ということは ページ24

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椎名さんの方を見ると、彼はただ黙って視線を下にさげていた。



美「そっか・・・海老沢さんが事件のことを知ったら、気づくはずだもんね」

竜「書きかけの小説のトリックを知っているのは、親友の椎名さんしかいない・・・」

一「そう。

つまり森村さんの加藤さんを殺害したのが椎名さんってことが海老沢さんにだけは分かるようになってたんだ。

でもおかげで、あんたが最後に自 殺を決行するまでに時間があってよかった」

あ「え？」

一「この小説は、犯人が焼身自 殺をしたところで終わってる。

太陽が沈んで、夜が来るのを待ってね」



そういえば、なんで夜に礼拝堂に行くことにこだわってるんだと思っていたけど、そういう意味があったのか・・・



椎名「・・・ッ、海老沢にだけは知って欲しかった。こんなことくらいしか、あいつにしてやれる償いがないから」

川崎「・・・どうしようもないな君たちは」



皆が涙を流して床に座り込む椎名さんを見つめるなか、川崎さんは呆れたような口調でそう言った。



川崎「医者を目指していた君が、どうして命をそう粗末にできるんだ！

なんのために医者を目指してきたんだ！」

新谷「わからないんですよ、彼らには。

・・・わからないまま、医者になることしか考えられなかったんです。

そういう風に、育てられたんです」



椎名さん、川島さん、白石さん。森村さんや加藤さん、海老沢さんだって、皆親が医者だからという理由だけで、医者になることを余儀なくされてしまった。

自分の夢なんて関係ない。ただ、医者になるべく、これまでを生きてきたのか。



新谷「他にやりたいことがあっても、親の期待にこたえるために」

川崎「いいか？君たちにひとつだけ伝えておこう。

この世でもっとも許しがたい罪は、人の命を奪うという行為だ。

裏をかえせば、人の命を救うという行為こそ、この世でもっとも尊いことなんじゃないのか？

君たちはそれを目指しているんだ。そのことを、もっと誇りに持ちなさい」



川崎さんのその言葉に、研修医の目つきが・・・ほんの少しだけ、変わったような気がした。

実は見てました→←大切な親友の遺書

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