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RAMPAGEの母と娘の涙 ページ22

-樹 side-


先日リーダーから寮卒のことを聞いた日から
徐々とに始まった引越し準備。

寮には事務所から大量のダンボールを送り込まれ
そこに荷物を詰めていく。


A「いっちゃんまだー?」

樹「まだです」

A「えー…」


…なんて言いながら俺の背中にくっつくAさん。


最近こうして片付けをしていると必ずやって来ては
構って欲しいとベタベタしてくる。


樹「Aさんは準備終わったんですか?」

A「終わっ…」

陣「あ、こんなとこおった!!!!
Aまだ全然準備してないやん!!!!」


俺の質問に答える間もなく、
今日もうるさいくらい(←)大声な陣さんが
部屋に入ってきた。


陣「時間もないんやから、はよ準備してや」


そういう陣さんに、
Aさんは俺の服を掴んで嫌だと言わんばかりに
首を横に振る。

そんなAさんに流石の陣さんも困り顔。


陣「…あん時ちゃんと話したやろ?」

A「…みんな一緒がいい」

陣「その気持ちは分かるけど…」

A「…もういい」


いつもちょっとしたワガママは通るのに
今回ばかりはAさんのことを思って
誰も折れることはなくて…。

味方のいない状態にAさんは
陣さんの言葉も聞かずに出て行った。



陣「ホンマに困ったな…」

樹「…ちょっとAさんと話してきます」

陣「ん、頼むわ」


とりあえずAさんと話したくて
リビングへ行くと何人かメンバーはいるけど
Aさんの姿はなし。


樹「あれ、Aさんは?」

拓磨「ここには来てないですけど…」

翔平「藤原樹!!Aさんに何をした!!」

樹「おかしいな…ここに来たと思ったのに…」

翔平「無視か?!」


1人で騒いでいる翔平を放置して
Aさんの部屋へ向かう。


_コンコンッ


樹「Aさん?」


ノックをして声をかけるも返事はなし。


樹「入りますよー…」


ドアをゆっくり開けて中に入ると
部屋の隅に畳まれたままのダンボールはあるものの
荷物をまとめている形跡なし。

ただ、肝心のAの姿さえない。


慌てて電話すると
ベッドの枕元で鳴り響くAさんの携帯。


樹「…嘘でしょ」


Aさんの携帯を手に、
大急ぎでリビングへ向かった。


翔平「なんだ藤原樹、今日はやけに騒がしい…」

樹「力矢さん、陣さん大変です!!


Aさんの姿がありません!!」



俺の言葉にその場にいた全員が動きを止めた。

▽→←▽



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作者名:ちゃそ | 作成日時:2020年3月9日 19時

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